2010 Fiscal Year Annual Research Report
循環型社会実現に向けた環境教育システム構築のための地域間世代間比較研究
Project/Area Number |
21330131
|
Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
小松 洋 松山大学, 人文学部, 教授 (60241501)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海野 道郎 宮城学院女子大学, 学芸学部, 学長 (90016676)
阿部 晃士 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (50305314)
篠木 幹子 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (20398332)
|
Keywords | 環境教育 / 循環型社会 / 地域間世代間比較 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に実施した水俣調査の分析は予定通り進め、本研究の目的の一つである環境教育実践例の聴き取り調査に力点を移すことを予定していた。環境教育先進事例や水俣と同様の公害経験地域での環境教育実践を調査することで、釜石に代わる調査票調査地域の選定も念頭に置いていた。水俣調査の分析は進み、学会報告等で成果を発表することができた。主な知見は以下の通りである。生徒の環境学習への取組の熱心さは必ずしもごみ分別行動や環境配慮行動全般とは直接的な影響は無かった。しかし、学習の結果、楽しさを感じたり、家庭で実践したりする生徒ほど、家庭でのごみ分別行動を実践する傾向がみられた。環境中心の態度に対して肯定的な回答が9割前後を占めており、環境への意識が高い。家庭、学校、地域といったそれぞれの場での経験や学習が、環境中心の態度を育て、無関心を低下させるというかたちで、環境意識の形成につながっている。中学生の実際のごみ分別行動・環境配慮行動全般には、家庭や地域での実際の取り組みに対する自己評価の効果が大きい。水俣市では、環境教育担当の教員を対象に、分析結果の報告会を実施した。また、四大公害経験地である新潟および富山にて聴き取り調査を実施した。それぞれの県と市において環境教育担当部局や環境政策担当部局に出向き、政策や実践について貴重なデータを得ることができた。水俣市でもそうであったが、各小中学校で地域の特性を活かした環境学習への取り組みをしている様子が明らかとなった。と同時に、「環境科」のような科目がないために、総合学習の時間や理科あるいは社会の時間などで環境学習を行うにあたっては、学校や担当教員の関心・熱心さが授業内容に大きく影響している点が共通点として見いだされた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に水俣市で実施した調査結果を分析し、成果を学会等で報告することはできた。釜石市で実施予定だった調査が震災に伴い不可能になったため、環境教育先進事例調査に切り替えたが、調査日程の調整が予想以上にかかり、新潟と富山の2地域のみの聴き取り調査となったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、水俣市で実施した調査データを分析し、知見を論文としてまとめていくことを目指す。さらに、本研究の目的の一つである環境教育実践例や環境政策について国内外の聴き取り調査を継続して進める。前年度には四大公害経験地である、富山と新潟のそれぞれ県および市に聴き取り調査を行ったが、教育実践例については調査が不十分である。三重県(四日市市)への聴き取りも含めて、前年度までの蓄積を踏まえたさらなる聴き取りと資料収集を行う。また、他の公害経験地や環境教育先進地での環境政策および環境教育実践例を調査することで、我が国における環境教育の現状を把握することに勤める。
|
Research Products
(8 results)