2009 Fiscal Year Annual Research Report
学校における修復的対話プログラムの導入に関する研究
Project/Area Number |
21330139
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Research Institution | Japan College of Social Work |
Principal Investigator |
山下 英三郎 Japan College of Social Work, 社会福祉学部, 教授 (90350173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 香 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (60368066)
辰野 文理 国士舘大学, 法学部, 教授 (60285749)
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Keywords | コンファレンス / サークル / スクールソーシャルワーク |
Research Abstract |
近年欧米諸国で導入が進んでいる修復的対話プログラムの、わが国における可能性を探るために、研究初年度は各研修者が分担して世界各地の取り組みを現地調査することが平成22年度の研究計画であった。 研究計画に従い、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、カナダ、イギリスの5カ国を訪問し、修復的対話を取り入れ実施している学校(小学校から高等学校までを含む)での現地調査を行った。調査の内容は、対話場面の実地見学はもちろんのこと、教職員への聞き取り、国によっては対話プログラムに参加した児童らの話も聞くことができた。 修復的対話プログラムの導入は、いずれの国においても1990年代以降であり、その歴史は新しく、それぞれの国において広く取り入れられているわけではなく、局所的なものではあるが、導入の効果については子どもたちも関係者たちも例外なく認めているのが印象的であった。この取り組みを、単なるコンフリクト解決のための手段として用いるだけではなく、学校全体を対話による平和的な環境として作り上げていこうという姿勢が共通して見られた。さらには、学校を越えて地域社会を巻き込み修復的対話の考え方を広げていこうとしている学校もあった。 世界各地の現地調査を通して、いじめや暴力、家庭と学校との関係などコミュニケーションの不全がさまざまなトラブルを生み出しているわが国の学校に、修復的対話の考え方と方法を取り入れることの意義を強く感じる結果となった。研究の2年度以降は、わが国においては馴染みがない修復的対話プログラムを具体的にどのような形で取り入れることができるか探っていく必要があるが、初年度の調査研究を通して手がかりが掴めるものと考えている。
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