2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21330139
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Research Institution | Japan College of Social Work |
Principal Investigator |
山下 英三郎 日本社会事業大学, 社会福祉学研究科, 特任教授 (90350173)
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Keywords | サークル / コンフリクト |
Research Abstract |
修復的対話プログラムの学校現場への導入を図ることを目的とした本研究は、三年間にわたる研究初年度の平成21年度は、海外の学校における修復的対話プログラムの実施状況を視察すると共に、文献及び資料の収集に焦点を当て、二年目である平成22年度は修復的対話プログラムを紹介するためのDVD教材とテキスト・リーフレットの作成を行った。そして、最終年度である平成23年度は、対話プログラムを実際に行うことと、研究成果を報告するための報告書を作成する作業を行った。 まず,修復的対話プログラムの実践は、東日本大震災で甚大な被害を被った岩手県大槌町にある大槌小学校にて、全教員を対象としたサークルを実施したが。大津波以来、児童支援に奔走し,自らの被害体験を語る機会がなかった教員同士が,自らの体験を語り合うことによって癒しの機会を持つこととなり、その後の生活にひとつの区切りをつける機会となった。さらには、島根県にある公設民営の刑務所において、受刑者に対するサークル活動を実施した。ここでは、定期的にサークル活動が実施されており、そのプログラムにひとつの枠を設けてもらう形であった。主として、受刑者の出所後の生活不安などに焦点を当てた対話であったが、受刑者にとって切実なテーマであるだけに、それを言葉に出して語り合うことの意味はきわめて大きいと思われる。 また、研究の成果を報告書の形にして公表することの意義を考慮し、特に初年度の海外調査部分に焦点を当てた報告書を作成し、修復的対話プログラムに関心を抱くと思われる機関や、研究者および個人に配付した。 これらの活動を通して、平和的なプロセスにより、学校内で生じる子ども同士、および子どもと教師、家庭と学校との間に生じるコンフリクトを平和的な方法で解決する手段としての修復的対話プログラムに対する、認知度を高めることに,本研究は寄与することができたと考える。
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