2009 Fiscal Year Annual Research Report
リスクに対する人々の不安:その構造分析と働きかけ方略の検討
Project/Area Number |
21330149
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中谷内 一也 Doshisha University, 心理学部, 教授 (50212105)
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Keywords | リスク / 不安 / 信頼 |
Research Abstract |
本研究計画の全体的な目的は、さまざまなリスクに対する人々の不安の構造を明らかにし、リスク不安の類型化を行った上で、リスク不安に働きかけるための方略を構築することである。この全体目的の中で本年度は、リスク問題データベースの作成と意識調査を実施する計画となっていた。計画通り、新聞などの媒体資料にもとづいて、どのようなハザードが社会的な問題となるのかを探るためのデータベースを作成した。さらに、全国規模の意識調査をWeb調査として実施した。調査では、自分個人として不安に感じること、社会にとって不安であると感じるもの、の2点について自由回答を求めた。その結果、個人としての不安は、おおよそ「金銭的・経済的不安」、「健康・病気に関する不安」、そして、「漠然とした今後の生活に対する不安」の3種に集約できることが明らかとなった。一方、社会としての不安は、個人としての不安の3種に加え、地球温暖化や環境破壊、地震や台風などの「環境・災害」、犯罪、戦争、テロなどの「暴力」、政権交代や政治家に関連する「政治状況」、少子化、高齢化、規範意識の低下など社会構造の変化に関連する「社会構造」などのカテゴリーが独立して見いだされた。分析の結果から、さまざまなハザードについての認知が社会的なリスク不安の主要次元に投射される形で評価され、さらにそれが個人的な不安の主要次元に結びつくことでリスク不安の強さが規定されるという、リスク不安の構造をモデル化する上での基礎的な知見を得ることができた。
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Research Products
(10 results)