2011 Fiscal Year Annual Research Report
リスクに対する人々の不安:その構造分析と働きかけ方略の検討
Project/Area Number |
21330149
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中谷内 一也 同志社大学, 心理学部, 教授 (50212105)
|
Keywords | リスク / 不安 / 信頼 |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)大規模な全国調査を行い日本人がもつリスク不安の様子を定量的に明らかにすることであった。その基盤となるのは社会調査データである。 これについての研究実施計画は、全国をカバーする層化二段階無作為抽出により1,500サンプル程度のデータを取得し、代表性の高いサンプルを得ようとするというものであった。そのために(a)人口統計に基づいて都市規模に応じた調査地点のサンプリング、(b)住民基本台帳に基づいた調査対象者のサンプリング、(c)訪問留置法による実査、という手順が計画されていた。 具体的な調査内容は、4年前時点での日本人のリスク不安を包括的に検討した中谷内・島田(2010)に沿って多種多様な51種類のハザードを評価対象とし、不安評定やそれぞれのハザードについてリスク管理体制への信頼評定を求めるというものである。 調査計画は順調に実施され、サンプル数は1,130程度と若干少な目であるが、代表性の高いデータを得ることができた。 本研究の意義は以下のようなものである。すなわち、(a)従来のリスク不安に関する調査の多くは、特定の事象を取り上げて不安の程度を測定することが多い。それに対して本研究では、多岐にわたるハザードをとり上げ、それらを相対化させながら、リスク不安の構成を明らかにすることができる、(b)従来のリスク不安に関する調査は横断的なものがほとんどであり、時間的変化によって不安がどう変化するのかを定量的に検証する研究がほとんどない。それに対して本研究では2008年度調査とまったく同一の51ハザード項目を評価対象とすることにより、リスク不安の変化を検証することができる。特に、2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響によって地震や原子力発電所事故への不安をふくめて、日本人の不安構造がどう変化するかを検証することができた。
|
Research Products
(16 results)