2010 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症の心理化フィルタ仮説にもとづく療育支援ロボットの実践的評価と仮説検証
Project/Area Number |
21330154
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
小嶋 秀樹 宮城大学, 事業構想学部, 教授 (70358894)
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Keywords | 発達障害 / 自閉症 / ロボット / インタラクション / 行動分析 |
Research Abstract |
平成22年度は,近江八幡市子ども療育センターを主なフィールドとして,療育支援ロボット(Keepon)と自閉症・広汎性発達障害(およびその疑い)をもつ2~5歳の子どもたち8名とのインタラクションを,長期縦断的に観察・記録・分析した.ロボットおよび装置類の整備を済ませた後,当該の療育施設において16回(欠席等を考慮して実質のべ約110人回)約50時間にわたって,ロボット・子ども・保護者・療育士のあいだのインタラクションを,2地点のカメラから収録した.このビデオデータとロボットの動作ログをもとに,前年度までのデータを含めて,それぞれの対象児を中心とした質的記述(アノテーション)を加えることを進めた.分析結果の一部は,療育施設でのカンファレンス資料として活用してもらうとともに,保護者への動機づけのために分かりやすいビデオクリップといてフィードバッグした この実践的評価活動と並行して,心理化フィルタ仮説の精緻化を進め,つぎのような改訂モデルを構築した.そのモデルとは,自閉症を「粒度の違い」がもたらす認知スタイルと考えるもので,その「粒度」とは知覚や行為の対象となる情報を外界から切り出すときの粒度であり,また対象や他者の振る舞いを予測するときの時空間的な粒度でもある.他者の振る舞いはある大きさの粒度で見ることで,適切に説明でき予測できる.この「適切な粒度」で他者を捉えることが「心理化」であり,心理化フィルタとはある粒度の情報だけを通すバンドパスフィルタとしてモデル化できると考えた
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Research Products
(10 results)