2011 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症の心理化フィルタ仮説にもとづく療育支援ロボットの実践的評価と仮説検証
Project/Area Number |
21330154
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
小嶋 秀樹 宮城大学, 事業構想学部, 教授 (70358894)
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Keywords | 発達障害 / 自閉症 / ロボット / インタラクション / 行動分析 |
Research Abstract |
本研究は,自閉症療育施設(滋賀・奈良)と共同で,コミュニケーションロボットを使った療育支援の可能性と探り,また背後にある自閉症の発症メカニズムを解明することを目的としている.従来からの研究協力機関(滋賀・奈良の療育施設)での対象児の事前検査や保護者への説明会を実施し,これら研究協力機関での,ロボットと自閉症児のインタラクション観察,視線計測実験,行動データの分析を完了する予定であったが,夏までに対象児と療育士との関係形成が確認できず,これら観察・実験については,平成24年度実施への繰越を決断した. 平成23年度は,前年度までのデータの検討(予備分析)とそれに係る国際学会発表,心理化フィルタモデルについての精緻化や論文発表,および,次年度の観察・実験に必要となるロボットシステムの整備(ロボット本体および収録・分析システム)の整備を行った.具体的には,ロボットと自閉症児のインタラクションを観察・記録したデータから,アイコンタクト距離や接触頻度などの量的指標の分析やエピソード記述による質的分析を進め,その成果を国際学会等で発表した.また,心理化フィルタモデルを「認知粒度の違いによる知覚スタイル」として精緻化し,その基本的な考えを論文として発表した.これら活動に並行して,ロボットシステムの整備を進め,ロボット駆動機構の入れ替え,画像伝送方法の刷新,ビデオ分析システムの刷新などを行った. 平成24年度は,繰越した分の活動として,研究協力機関(療育施設)での対象児の事前検査を再度行い,7月から翌年3月までのインタラクション観察および視線計測実験等を実施し,行動データおよび視線データ等を収録した.その一部については収録と並行して予備分析を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は,夏までに研究協力機関(療育施設)における対象児と療育士との関係形成が確認できず,ロボットと自閉症児のインタラクション観察,視線計測実験,行動データの予備分析の部分を,翌年度に繰り越すことになった.一方,当該年度内は,前年度までの行動データの予備分析やロボットシステムの整備に集中することができた.翌年度(平成24年度)は,繰り越した分の研究活動(療育施設でのインタラクション観察および視線計測実験等)を効率的に実施し,当初の計画を達成することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度および繰越分として平成24年度に実施したインタラクション観察や視線計測実験と,平成24年度実施分としてその年度に並行実施したインタラクション観察や視線計測実験を踏まえ,今後は,行動データの詳細な分析を進め,心理化フィルタ仮説の検証を進める.とくに,自閉症の知覚スタイルを「認知粒度」の違いとして特徴づける試みを今後も進め,より説得力のある自閉症モデルへと昇華させていく. また,平成23年度の繰越のような事態を未然に避けるため,今後は,当該年度の研究活動を開始させる前に,その実行可能性を研究協力機関とともに詳細に検討する.
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Research Products
(8 results)