2011 Fiscal Year Annual Research Report
認知的コントロールの基盤を探る:記憶抑制機能への多面的アプローチ
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21330168
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川口 潤 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70152931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川合 伸幸 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (30335062)
梅田 聡 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (90317272)
齊藤 智 京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (70253242)
唐沢 穣 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90261031)
北神 慎司 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (00359879)
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Keywords | 記憶 / 抑制 / 認知心理学 / 認知科学 / 認知制御 / 内受容感覚 / 神経基盤 / 身体情報 |
Research Abstract |
本研究は,ヒトの認知的コントロールの機能,特に記憶の抑制機能に焦点を当て,かつ,認知心理学,認知神経科学,比較認知心理学等の知見を援用し,そのメカニズムを解明しようとするものである. 本年度は以下の点についての検討を行った. 記憶抑制機能については,Think/ No-Thinkパラダイムを用いて感情情報を伴った情報の意図的抑制について検討を進めた結果,意図的な抑制をすることによって感情価が変化する可能性が示された.ただし,記憶の抑制結果については明確な結果が見いだせなかったことから,方法も含めて再検討の必要があると考えられる.また,潜在指標として眼球運動を用いた研究を行ったが,分析手法を含めて測定についての検討を進めた.関連した情報の検索が抑制されるという検索誘導性忘却については,これまで用いられてきた再生ではなく再認による検索訓練でも生じることを示した.また,検索誘導性忘却を展望記憶課題において発見し、報告した.さらに,より現実場面における検索誘導性忘却を目撃証言において検討した. 神経基盤に関する研究については,認知制御と抑制に関わる神経メカニズムに関する理解を深めるため,展望記憶の想起,内受容感覚,文章理解と情動などの視点から,fMRIを用いた画像研究および神経心理研究を実施した.これらの研究を通して,前頭葉内でのネットワークに課題による質的な違いがあることや,認知制御に身体情報が活用されるいくつかの事実を明らかにすることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね予定通り進んではいるが,実験手続きなどの方法論的検討も並行して進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,日本心理学会においてシンポジウムを行うことで,分担研究者および関連分野の研究者との意見交換を行うことができた.まだ参加者は150名を超える人数となり,一般の関心が高いことも明らかとなった.より広い視点からの検討を進めることで,本研究の意義を再確認したい.
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Research Products
(17 results)