2009 Fiscal Year Annual Research Report
音声・音響信号に備わる寸法恒常性による音脈分凝と音色知覚の時間追随性
Project/Area Number |
21330170
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
津崎 実 Kyoto City University of Arts, 音楽学部, 准教授 (60155356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入野 俊夫 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20346331)
北村 達也 甲南大学, 知能情報学部, 准教授 (60293594)
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Keywords | 聴覚 / 声道正規化 / 音声の個人性知覚 / 寸法情報知覚 / 音脈分凝 / 聴覚による情景分析 / 聴覚系の時間積分 |
Research Abstract |
研究の目的は,音響信号によって伝えられる寸法情報によって音脈分凝,即ち,耳に到達した段階では混在している信号を外界の音源に対応する成分にいかに仕分けて聞くことができるかについて,その機構を解明することにあった。本年度には,寸法に対応して変化する音源の物理的特性として,励振源の基本周波数と共鳴体の共鳴周波数の間の相互作用の有無についてまず検討した。その結果,この二つの属性は論理的には独立な制御要素として考えることが出来るのに対して,知覚上は自然界に存在する組み合わせの軸に沿って変化した方が分凝を引き起こしやすいことを明らかにした。この自然な組み合わせの変化と不自然な組み合わせの変化の間には.興奮パターンと呼ばれる聴覚的なスペクトルの上では有意な差が存在しないことから,自然界に存在しやすい組み合わせの場合に対する特別な神経結合が介在した後に,音源の仕分けが行われている機構の存在を示唆する結果と考えられる。上記の実験以外に,共振特性上で共鳴体寸法の大小関係のみが異なる2つのインパルス応答を交互に呈示する母音音刺激を作成して試聴を行った。その場合,2つのインパルス応答の組を1周期としたピッチで聞こえ,さらにその音の寸法については曖昧な情報しか抽出できないにもかかわらず,音韻性については本来のものが聞こえるという予備的結果が得られた。音韻性の情報抽出に対して正確な寸法情報の分離が本当に必要であるかどうかを問う試金右としての可能性がある。
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