2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21330171
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 健一郎 Hokkaido University, 大学院・教育学研究院, 准教授 (80291582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 健一 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (00301812)
武藤 拓也 国士舘大学, 文学部, 准教授 (50290664)
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Keywords | 近代沖縄 / 教育実態史 / 教育会雑誌 / 教育団体史 / 標準語教育史 |
Research Abstract |
1、沖縄県教育会の組織と活動について、今年度はその機関誌である『沖縄教育』に関して基礎的解明を進めた。機関誌は、1911年で1000部、1933年で400部であるなど、その発行部数はその時点の会財政の状況に強く左右されていること、また常に会員全員に配布されていたわけではなく、学校規模に応じた部数が学校あてに送られていた時期もあることなどを明らかにできた。また会則や予算等の調査によって、1911年以降基本的に編輯主任(時期によって編輯幹事などと呼ばれる)が単独で編集していた。その編集体制ゆえに、県の教育方針を詳細に伝える一方で、若手中堅の小学校教員に対して投稿を促したり、郷土史に関する特集や連載を組んだりした親泊朝擢など、編集者の独自色が色濃く出る時期もあったことを明らかにした。 2、1915年の沖縄県からの諮問に対する「普通語ノ励行方法答申書」を通じて、1910年代半ばの沖縄におけることばの教育実態を指摘した。答申は、沖縄社会においては標準語を話すことが「冷笑」の対象であったことを自覚したうえで、家庭や社会に対し学校が行なう標準語励行の妨害をしないことを要望していた。標準語励行を進めることは学校の役割であると認識し、教員自らが手本となり、「方言使用者」に対する「訓戒」と「普通語使用児童」への「称揚」を根気強く続けること、そして児童生徒に自発的な標準語の使用を求めた。沖縄県庁は「普通語励行ノ方法」について諮問しており、教員たちに求められたものは「普通語励行」の是非ではなく、あくまでもその具体策であった。 3、沖縄県教育会の活動、あわせて教育界が直面していた課題を明らかにするため、九州沖縄八県連合教育会での議題とりわけ沖縄県からの提案議題を整理すべく、九州各県の教育会雑誌の調査を進めた。
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Research Products
(2 results)