2011 Fiscal Year Annual Research Report
地方分権化時代における義務教育の存立基盤と教職専門性の再編に関する実証的研究
Project/Area Number |
21330194
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
清水 睦美 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (70349827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 良 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究所, 准教授 (50432282)
松田 洋介 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (80433233)
川上 泰彦 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (70436450)
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Keywords | 教育政策 / 教育行財政 / 地方分権改革 / 教職専門性 / 教育改革 / 義務教育制度 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は、以下の3点である。 第1に、愛知県犬山市をフィールドとして、2000年以降、継続的して調査研究を行ってきた「教育改革」の社会学的考察に関する成果をまとめて、2011年12月『教育改革の社会学-犬山市の挑戦を検証する』(岩波書店)を刊行した。義務教育制度の財政基盤の分権化がをあわせて行われている中央から地方への公教育の権限委譲に、地方の教育委員会が試行錯誤しながらもそこに地方としての意味づけを行っていく過程を明らかにすると同時に、その過程で成したこと/成し得なかったことを明らかにした。 第2に、地方分権改革における財政に関わる課題は、特に教育分野において、従来の「教育の平等」という理念と相反する側面をもつ。昨年度に明らかにした地方教育財政の予算枠の決定の方法と実支出の関係の上に、北海道をフィールドとして、インタビュー調査を実施し、予算決定とその実行に関わる教育委員会の位置取りにおいて、スタンスの違いをもつ地方自治体の比較を行った(2011年日本教育学会発表)。また、東日本大震災を受け、岩手県陸前高田市をフィールドに、厳しい地方教育財政のもとでの被災学校の復旧の過程を明らかにした(2011年日本教育学会発表)。 第3に、地方分権改革のもとでの教職専門性の再編過程を明らかにするための事前調査として行った2007年・2008年の教員キャリア調査の分析をまとめて報告書として刊行した。若手教員のキャリア形成における入職ルートの違いの影響、教員の年齢構成の地域差や人事異動システムの中堅教員の意識との関係等を明らかにした(科研費報告書)。
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