2009 Fiscal Year Annual Research Report
高機能広汎性発達障害児者の間主観性の問題に関わる動的な対人認知過程の実験的検討
Project/Area Number |
21330208
|
Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
安達 潤 Hokkaido University of Education, 教育学部, 教授 (70344538)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 真善 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50344544)
萩原 拓 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00431388)
|
Keywords | 高機能広汎性発達障害 / 間主観性の認知 / 会話の同調性の認知 / 動画刺激 / 発達的研究 |
Research Abstract |
研究初年度である平成21年度の中心的課題であったアイトラッカー2台による閉会路TVコミュニケーションシステムは構築することができ、2台のアイトラッカーの記録タイミングを合わせることも、アイトラッカーを駆動するPCの内部時計を予め合わせておくことで、分析データ上での補正が可能であることが確認された。さらに顔の動きを検出するビデオ分析ソフトのデータも、顔の動きがそれほど大きくない範囲の中では分析可能なデータを得られることが確認された。ビデオ遅延装置をシステムに組み込んだ場合も特に問題は見られなかわた。以上、閉会路TVコミュニケーションシステムの構築は基本的に実現されたが、以下の課題が残された。すなわち正面視で相互の視線が完全に合致する会話状況を再現するためにはアイトラッカーの画面中心にビデオカメラを設置する必要があり、アイトラッカーのモニター上の画像の視認およびアイトラッキングの記録に支障のあることが判明した。このため、超小型CCDカメラの使用あるいは実験パラダイムの修正を検討してきたが、次年度への課題として残されている。以上に加え、前回の基盤研究(B)(平成18年度~20年度)で報告した実験2をASDと定型発達の児童を対象に実施した。この実験2は会話の同調性認知という意味で間主観性の認知と関わるものであるため、今回の基盤研究(B)の中で将来的にASDの人たちの間主観性の認知を発達的に検討していくためのデータ取得としての意味も含めて実施した。結果、定型発達児の注視特性に発達的変化が認められたのに対してASD児者には発達的変化がなく定型発達児の注視特性と似通っていることが認められた。児童を対象に実施した実験2の結果は、発達的観点からASDと定型発達の注視特性を検討したときに、その差異点と共通点を見いだしたという意味で、今後のパラダイム検討にもつながる重要な知見であると思われる。
|
Research Products
(1 results)