2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
並河 良典 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80228080)
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Keywords | ポアソン変形 / べき零軌道 / Slodowy切片 / シンプレクティック特異点 / シンプレクティック超曲面 |
Research Abstract |
複素単純リー環gのべき零軌道に対して,Slodowy切片とよばれる横断片Sが定義される。リー環の階数をrとしたとき、随伴商をとることによって、Sからr次元アファイン空間Aへの自然な写像fが定まる。原点上のファイバーS_OはSとべき零多様体Nとの交わりに他ならない。いっぽう複素リー環のポアソン構造を制限することによってfの各ファイバーS_tはポアソン構造を持つ。 複素シンプレクティック多様体に対するポアソン変形の一般論は、研究代表者やKaledin-Ginzburgによってすでに構築されているので、平成22年度はこの理論を上記のSlodowy sliceに応用する研究を行った。その結果得られた主結果は、いくつかの例外を除いてfはS_0の普遍ポアソン変形を与えるというものである。さらに例外をすべて分類することにも成功した。これらは、Lehn(独、マインツ大),Sorger(仏、ナント大)との共同研究であり、Compositio Mathに掲載された。 この共同研究を通して、高次元のシンプレクティック超曲面の例が、4次元と6次元の場合に発見された。一般にシンプレクティック特異点の埋め込み余次元d(embedded codimension)は非常に高く、d=1となるケースは非常に稀であり、我々が発見した例はまさにこのケースである。平成23年3月に研究打ち合わせのためLehn,Sorger両氏は京都を訪れる予定であったが、東北大震災のため不可能になった。しかし繰り越しになった平成22年度の科研費を用いて、平成23年研究代表者自身が、ナント大学を出張して、共同研究を続行することが可能になった。
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Research Products
(5 results)