2012 Fiscal Year Annual Research Report
三角圏の研究とそのCohen-Macaulay加群への応用
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21340008
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉野 雄二 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (00135302)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 代数学 / 可換環 / Cohen-Macaulay 加群 / 退化 |
Research Abstract |
研究代表者自身が提唱している加群の退化の代数的定義に基づいて、 Cohen-Macaulay 加群の退化の新しい理論体系を構築することは本研究課題の重要な研究目標の一つである。今まで加群の退化は加群圏(アーベル圏)においてのみ考察されてきたが、 Cohen-Macaulay 加群の退化の安定圏における類似を詳しく考察を行い、その結果として、2011年にJournal of Algebra に掲載された論文において、安定圏における退化は従来の退化と密接な関係にあり、実際的計算においては安定圏における退化の方が易しいこと、その結果を用いて従来の加群圏における退化の様子を知ることができることなどが分かっていた。 Proceeding of the American Math. Society に掲載予定の論文では、これら従来の結果を使って、偶数次元のA型の単純特異点上の Cohen-Macaulay 加群の退化の様子を記述するアルゴリズムを得ることができた。さらには有限表現型の完備 Cohen-Macaulay 局所環上の Cohen-Macaulay 加群の退化はすべて Auslander-Reiten 列の退化から得られることが証明できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
退化の類似概念を安定圏において考察して、それが従来の退化の自然な拡張になっているばかりでなく、 Cohen-Macaulay 加群の退化を計算する上で重要な手がかりを与えていることが分かったことは、大きな進歩であったが、さらに、実際に単純特異点上の Cohen-Macaulay 加群の退化に応用できたことで、おおむね満足のいく結果が得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も従来の研究方針のもとで Cohen-Macaulay 加群の退化についての圏論的な研究を継続していく。特に導来圏を含む一般の三角圏において、もしくはモデル圏構造をもつような場合に、対象の退化について考察することは重要なキーになると考えている。
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Research Products
(3 results)