2011 Fiscal Year Annual Research Report
ワイエルストラス型表現公式の一般化と特異点をもつ曲面の理論への応用
Project/Area Number |
21340016
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 光太郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10221657)
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Keywords | フロント / 特異点 / 特異曲率 / ガウス・ボンネの定理 / 共形平坦計量 / 3ノイド / 超幾何微分方程式 |
Research Abstract |
特異点をもつ曲面・超曲面のクラスのひとつである波面(フロント)の幾何学を「内的な言葉」で表現する「連接接束」の概念をすでに導入したが,この概念を用いることにより,特異点を許す曲面のガウス・ボンネの定理の双対版を得,応用としていくつかの位相幾何学的な結果を得た(佐治・梅原・代表者)また,連接接束が空間型の超曲面として実現されるための条件,すなわち「フロントに対する超曲面論の基本定理」を得た.たとえば,このことから特異点をもつ定曲率曲面の実現定理を得ることができる.連接接束は,ある種の特異点を許すリーマン計量をもち,リーマン多様体の一般化と考えることができるが,とくにその特異点集合は(ジェネリックには)なめらかな部分多様体(超曲面)になる.この超曲面に曲率(主曲率)を定義し,その挙動を調べた。これは佐治・梅原・代表者による2次元の場合(カスプ辺の特異曲率の挙動)の一般化である(佐治・梅原・代表者). 共形平坦なリーマン多様体は,局所的にはミンコフスキー時空の光円錐に超曲面として等長的に埋め込まれることが知られているが,光円錐の超曲面の双対性を用いると,この超曲面から新しい共形平坦計量が得られる.この「双対共形平坦計量」は一般に特異点をもつ.このような対象を連接接束の言葉で定式化し,実現定理をもちいて双対性を考察した(Liu・梅原・代表者). 一方,(特異点を許す)曲面の分類問題の準備として,3次元双曲空間内の平均曲率1をもつtrinoid(3つのエンドをもつある種の曲面)の分類を与えた.分類は,梅原・代表者による,円錐的特異点をもつ定曲率計量の分類に(既約な場合は)帰着されるが,可約な場合は超幾何微分方程式のモノドロミー問題に帰着される.3次元ド・ジッター時空の定平均曲率1の(特異点を許す)曲面の分類の準備として重要である(藤森・川上・国分・Rossman・梅原・代表者)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画したとおり,特異点をもつ曲面のクラスのいくつかに対して具体例を数多く構成することができ,いくつかのケースでは大域的なある種のクラスの分類がほぼ完成に近づきつつある.また,フロントの基礎理論の整備が進み,われわれの問題の高次元化が視野に入ってきた.このことにより,特異点をもつ曲面・超曲面のクラスに対して新しい視点を与えることができたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
理論の高次元化を視野に入れ,ガウス・ボンネ型定理の高次元化を試みる. 一方,特異点をもつ曲面のクラスのうち,3次元時空の極大曲面,3次元ド・時空の定平均曲率1をもつ曲面の幾何学,とくにワイエルストラス表現公式で表現されるクラスの「極限」として現れるクラスを考察することにより,新たな理論の展開と定式化を試みる. さらに,これらの曲面とくにド・ジッター時空の定平均曲率1をもつ3ノイドの分類を完成させる,方法論は今年度に出版された双曲空間の3ノイドの分類と同様だが,特異点の挙動という視点から新しい技術が必要となると考えている。
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