2010 Fiscal Year Annual Research Report
特異渦構造の運動を通した流体乱流現象の力学と統計の高次結合
Project/Area Number |
21340017
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂上 貴之 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (10303603)
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Keywords | オイラー方程式 / 点渦力学 / 一様等方乱流 / オイラーα方程式 / 乱流モデル / 衝突多様体 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に基づき連携研究者(大阪大学・名和範人教授,京都大学・松本剛助教)とともに,特異渦構造の運動と乱流統計の関係に関する研究を行い,以下の成果を得た.(1)乱流と散逸的弱解に関する研究では,乱流流れ場を方程式によらない確率過程論だけに基づく統計的乱流理論として定式化し,現在知られているコルモゴロフの乱流理論や流れ場の滑らかさとエネルギー散逸について述べたオンサガーの予想の数学的記述が可能になった.また,このようなサンプル流れ場を構成する流体方程式の候補としてEuler方程式やNavier-Stokes方程式の研究の現状を捉えることもできた.特に三次モーメントやエネルギースペクトルの統計則に関する関数解析学的な位置づけがあきらかになった.これは従来の視点の大きな転換であり,そのおかげで同じ数学的構造を持つ一次元の乱流モデル(一般化Constantin-Lax-Majda方程式)に取り組む必然性が明らかになった.(2)Euler-α方程式の点渦力学(α点渦系)の研究については,シンプレクティック法にもとづく高精度数値計算法を開発し,Euler方程式の点渦力学における三点衝突解に対応する解の挙動を研究した.その結果,α点渦系の三体問題の解は無限時間で無限遠方に自己相似的に発散していく解となることがわかった.このことは,点渦系の三点衝突解の正則化された解の挙動,また平岡による衝突解の位相正則化の結果と連動して,衝突時間前後におけるエネルギー散逸の可能性とその数学的構造を明らかにする重要な示唆を含んでおり,今後より集中的に研究を行う予定である.(3)渦層のα系については数値コードを開発し現在研究を継続中である.また,22年8月に英国シェフィールド大学大木谷耕司教授を招聘し,本研究課題に関する研究打ち合わせを行った.
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Research Products
(1 results)