2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340023
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長山 雅晴 Kanazawa University, 数物科学系, 教授 (20314289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 聡 広島大学, 理学研究科, 教授 (50217741)
北畑 裕之 千葉大学, 理学研究科, 講師 (20378532)
中村 健一 電気通信大学, 電気通信学部, 助教 (40293120)
齊藤 宣一 東京大学, 数理科学研究科, 准教授 (00334706)
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Keywords | 数理モデル / 粒子運動 / 化学反応 / 間欠運助 / Hopf分岐 / 液滴運動 |
Research Abstract |
化学反応によって運動の変化する粒子や液滴の運動に対して数理モデルを構成することによって数理的に理解することを目的に研究を推進している.さらに,数理モデルの結果を数学の問題として定式化することによって数学解析を行うことも推進する.また,数理モデルの数値計算上の問題点を数値解析の力で克服していくことで新しい数値計算法の提案にもつながる研究を推進している.数理モデルを通して現象と数学・数値解析を融合することによって現象の数理解析を行っていく.今年度は水面に浮かぶフェナントロリン粒子の間欠運動とOHPシート下に樟脳粒子を接着することによって,水面上でOHPシートが間欠運動する現象について数理モデル化と発生機構について研究を行った.フェナントロリン粒子は水溶液中の鉄イオンと錯体反応を起こしフェロインとなって底に沈殿する.間欠現象の起こる機構は樟脳酸-リン酸系と同じであると思われるが,フェナントロリン粒子は鉄イオン濃度をさらに高くすると再び等速運動する.この機構を数理モデルから予見することに成功し,実験においても数理モデルの結果と同じ現象が起こることが確認できた.また,OHPシートの間欠運動においては化学反応が関係しないことから,その運動機構が実験から全く予見できないものであったが,OHPシート下の樟脳粒子拡散と水面上での樟脳粒子拡散の係数が異なっているという仮定の下で数理モデルを構成した結果,2次の慣性抵抗を加えることで実験データを定性的に再現することができた.この結果から,OHPシート下の樟脳粒子拡散係数を同定することが実験上重要であることがわかったが,実験ではまだ確認されていない.このように実験からだけでは運動機構を理解することができない問題に対しても数理モデルを通して現象を理解することが可能であることを提示できた.これらの問題に対する数学解析と数値解析は今後の課題である.
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Research Products
(5 results)