2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340023
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長山 雅晴 金沢大学, 数物科学系, 教授 (20314289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 聡 広島大学, 理学研究科, 教授 (50217741)
北畑 裕之 千葉大学, 理学研究科, 准教授 (20378532)
中村 健一 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (40293120)
齋藤 宣一 東京大学, 数理科学研究科, 准教授 (00334706)
住野 豊 愛知教育大学, 教育科学, 助教 (00518384)
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Keywords | 数理モデル / スポットパターン / 反応拡散系 / 樟脳粒 / ブレビング運動 / 振動運動 / 応用数学 |
Research Abstract |
本年度は,樟脳運動モデルに対して,領域形状と大きさに依存した円盤樟脳運動の数理解析,楕円型樟脳粒運動の数理解析,体積保存条件付き反応拡散系に現れるパターンダイナミクスに対する数理解析,そのために必要な体積保存条件付き反応拡散系の数値計算法を中心に研究した. 領域形状依存性については,正多角形形状を四角形から徐々に辺数を多くすることによって領域の境界に沿った動きになることがわかった.これは実験において円盤樟脳粒がシャーレの境界に沿って動く現象を再現していることがわかった.また,正方形の面積を徐々に大きくすると停止から円運動への周期解へと分岐することがわかり,対角線運動する解は不安定あることが数値計算から示唆された.さらに,粘性抵抗と領域の大きさを自由パラメータとして分岐構造を調べると,斉次ノイマン条件下ではある領域の大きさにおいて最も大きな粘性抵抗値でHopf分岐することがわかった.楕円樟脳においては停止解からの分岐点を理論的に求めることによって,長軸方向に進む解より先に短軸方向に進む解が分岐することを示すことに成功した.楕円樟脳運動の実験ではほとんど短軸方向に進む現象が見られることから,分岐論的に示した結果は現象を再現していると考えられる.樟脳運動モデルを用いた数値計算と数理解析は,実験に見られ現象をよく再現しており,数理モデルの数理解析から現象の起こる機構を理解することができる点で意義ある研究となっている. 体積保存条件付き反応拡散系に対する発展方程式の数値計算によって,停止解から並進運動解と回転解への分岐現象を示唆した.また,並進運動から脈動並進運動解,方向転進解,不規則運動解へと分岐することもわかった.特に,脈動並進運動解はこれまで空間2次元反応拡散系において発見されていない解である.さらに,今年度はこれらの解を解構造の視点から調べるために,空間2次元の高速分岐数値計算プログラムを開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樟脳粒子運動に対する研究は,樟脳粒形状依存の運動方向に対する分岐解析と円盤樟脳の領域形状依存や領域面積依存に対する運動の数理解析は順調に進んでいる.体積保存条件付き反応拡散系に現れるパターンダイナミクスはその出現機構を計算機援用による数値分岐計算を行うところまできており,おおむね順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,昨年度作った分岐計算ソフトを使って体積保存付き反応拡散系の解構造を明らかにし,脈動並進運動解の出現機構を理解する,また,停止解からの分岐現象を解析するために縮約化を行い,縮約化方程式を解析することから明らかにする.さらに,反応拡散系モデルを基礎にした液滴運動の数理モデルを構築し,液滴のブレビング運動の発生機構を数理的に理解する.数理モデル化では現象の再現にこだわることで物理的な意味を持たない数理モデルを構築してしまうことに注意しなければならない,そのために,ブレビング運動のモデル化では実験メンバーとの研究打ち合わせを密接に行うことで物理的に意味のある数理モデルを構築する.
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Research Products
(5 results)