2011 Fiscal Year Annual Research Report
最適化問題の記号代数解法のための実代数幾何の代数計算理論の展開
Project/Area Number |
21340025
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
穴井 宏和 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (20417520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 和弘 立教大学, 理学部, 教授 (30333454)
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Keywords | 記号・代数計算 / パラメトリック最適化 / 記号的最適化手法 / 実代数幾何 / 限量記号消去 / グレブナ基底 |
Research Abstract |
ものづくりにおける設計をはじめとして、実世界の広範な問題は「最適化問題」として捉えることができるため最適化問題を解く方法論の革新的発展が世の中にもたらすインパクトは非常に大きい。本研究を通じて「記号・代数計算に基づく最適化手法」に着目する。これにより従来の数値的最適化手法では困難であった非凸問題の大域的最適解を正確に導くことやパラメトリックに問題を解くパラメトリック最適化が可能となる。本研究では、記号・代数計算に基づく最適化手法の限量記号消去(QE)やグレブナ基底の計算法に基づいた新しい効率的な最適化手法の開発を継続して試みる。 記号的な最適化手法の主要アルゴリズムであるQEについて、これまでの成果を本にまとめ『QEの計算アルゴリズムとその応用-数式処理による最適化』を出版した。 本年も、 1.数値・数式ハイブリッド計算技術による効率的なQEアルゴリズムの開発 2.実問題の構造を活用した効率的な最適化アルゴリズムの開発 を軸として研究を継続した。 1.については、パラメータを含む最適値を数値数式ハイブリッド計算に基づいて効率的に構成する手法を開発し国際会議CASCで発表した。また、代数制約解法に不可欠な代数構造上の演算の効率化として、有限体上の多項式剰余類環の高速演算法を、補間法を用いて実現しこれを論文として雑誌に投稿中。 2.については、非線形システムのゲイン関数を求めるQEによるより正確な構成手法について国際会議CDCで発表するとともにこれまでの成果が論文誌(MCS)に採録された。また、制御系設計で頻出する最適化の問題クラスに有効なQEアルゴリズムの高速化の鍵となる論理式の簡略化手法を提案し国内学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
パラメトリックな最適化手法を実現する鍵となる実代数幾何のアルゴリズムであるQEについて、これまでに大きく高速化を達成し国際会議で発表する他、現在その成果をまとめ国際論文誌に投稿中である。実問題の解決のための特別な記号的最適化の手法についても各種手法を開発し国際会議で発表し、今年度に入り国際論文誌で3件採録されている。また、QEについての日本初の書籍を執筆した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は最終年度であり、これまで開発してきたアルゴリズムを中心にその高速化のための研究を行い、制御理論などの応用分野への適用を推し進める。同時に、応用分野での問題解決のために必要な理論・アルゴリズムを抽出し、新しい研究の方向性を策定することも目指す。また、開発した各種アルゴリズムを記号計算に基づく最適化のツールとして提供すべくソフトウェアを構築する。
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Research Products
(10 results)