2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹井 義次 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (00212019)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 完全WKB解析 / パンルベ方程式 / ガルニエ系 / 変わり点 / ストークス幾何 |
Research Abstract |
2変数の線型完全積分可能系の完全WKB解析において、変わり点の交差現象が起きる点での標準形は最も退化した2変数超幾何系(いわゆる、パーシー系)により与えられる。昨年度、廣瀬三平君により得られたこの結果を踏まえて、本年度はまずこの結果の非線型方程式への拡張に取り組み、1次元複素直線への制限が4階のII型パンルベ方程式に対応する2変数退化ガルニエ系については、変わり点の交差現象が起きる点の近くで、4階のI型パンルベ方程式に対応する最も退化した2変数ガルニエ系へ(完全WKB解析の意味で)変換できることを証明するのにほぼ成功した。これは、非線型の完全積分可能系の場合には、最も退化した2変数ガルニエ系が変わり点の交差現象が起きる点での標準形であることを強く示唆する。これはまた、勾配カタストロフの点においてKdV方程式の漸近解の挙動が4階のI型パンルベ方程式の解により記述されるというDubrovinの結果とも密接に関連すると予想され、可積分系をはじめとする非線型偏微分方程式系の完全WKB解析の一般論の構築にも繋がる興味深い結果であると考えられる。 また、大学院生の岩木耕平君により、任意のパンルベ方程式が、2つの変わり点を結ぶストークス線分の近傍ではII型のパンルベ方程式に、さらにループ型のストークス線分の近傍ではIII型のパンルベ方程式にそれぞれ変換可能であることが証明された。この岩木君の結果は、パンルベ方程式の1パラメータ形式解が持つ動かない特異点の解析において決定的に重要な役割を果たすものだと考えられる。このように、最終年度である本年度は、パンルベ方程式やガルニエ系といった非線型方程式の研究において、今後の大きな発展にも繋がり得る重要な進展が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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