2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21340030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
重川 一郎 京都大学, 理学研究科, 教授 (00127234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 隆 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (90234509)
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Keywords | 確率解析 / マルコフ過程 / 半群 / エルゴード性 / スペクトル / 大数Sobolev不等式 |
Research Abstract |
非対称なマルコフ過程のうち、生成作用素が正規作用素となるものを考察した。従来扇形条件がみたされるものが主に調べられてきたが、正規作用素の枠で問題を定式化しなおすことが可能であることを発見した。正規作用素の場合はスペクトル分解の一般論を使うことができ、扇形条件を満たすDirichlet形式が対応する条件をスペクトルの条件で完全に特徴づけることができた。また、正規性の判定を、m-accretiveという条件を課せば容易に与えることができることを見出した。具体的なものとしてはコンパクトなリーマン多様体の上の非退化の拡散過程を考察し、正規性の必要十分条件を与えた。具体的にはラプラシアンΔにベクトル場bを摂動で与えた場合は、bがキリングベクトル場になることが必要十分である。基礎の測度が滑らかな密度を持つ場合にも、同様の結果を得ることができる。 さて、正規作用素がマルコフ性を持つ場合、対応するマルコフ過程が存在するかどうかは、確率論の観点からは重要な問題となる。扇形条件を満たす場合はすでに一般論があり、マルコフ過程の構成定理が知られているが、一般の正規作用素の場合は先にも述べたとおりスペクトルにより、扇形条件がみたされない場合も存在する。この場合はStanattによる、一般Dirichlet 形式の理論の枠組みに入ることが示せた。従って、キャパシティーに関する付加的な条件を仮定すれば、マルコフ過程の存在を示すことができる。さらに、Ornstein-Uhlenbeck過程に回転項を付け加えた拡散過程など、具体的な正規作用素の例を計算し、スペクトルの構造が完全に記述できる例を挙げた。 また、分担者の熊谷氏は以下の2つのモデルについて、媒質について確率1のレベルで確率過程のスケール極限が反射壁ブラウン運動(一般にはdivergence form)になることを証明した。モデル1として、半平面や1/4平面上の優臨界確率ボンドパーコレーションクラスター上の単純ランダムウォークを扱った。モデル2としては、錐状領域の上に定義された、係数がランダムで一様楕円なdivergence formの場合を扱った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マルコフ過程の研究のうち、非対称なものの研究が進んだ。特に具体的な正規作用素のスペクトルを求めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続いてマルコフ過程の漸近的な挙動を調べていく。特に1次元の拡散過程の、スピード測度に基づく解析を進める。
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Research Products
(5 results)