2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340033
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
利根川 吉廣 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80296748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西浦 廉政 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00131277)
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Keywords | フェイズフィールド法 / Allen-Cahn方程式 / Cahn-Hilliard方程式 / 平均曲率 / 極小曲面 / 相分離 / 幾何学的測度論 / 変分法 |
Research Abstract |
1.2つの相に分離した非ニュートニアン非圧縮性流体を考える.相の分離面は表面張力を持ち、流体に沿って流れると同時に界面面積を小さくする効果をもつ平均曲率流となっていると仮定する.この条件を満たす物理的な問題としては相分離を伴う高分子メルトなどが考えられる.時刻0で初期流速場と相分離面が与えられたとき、それ以降の時刻でこの問題の解が存在するかどうか(いわゆる時間大域存在定理)を考察した.一般に界面は有限時間内に特異点を持つ可能性があり、そのため弱い解を構成する必要がある.この問題をフェイズフィールド法の枠組みを用いる事で解決した.曲率流などの正則化を伴わない2相流体問題の時間大域問題は未解決問題であるが、平均曲率流を用いた正則性を行えば大域解が存在することを示した点が重要である.論文は査読中である. 2.前年度にWickramasekeraとの共同研究で、局所安定的なModica-Mortolaエネルギーの停留点の相分離面は次元7以下では滑らかな極小超曲面に近い事を示した.この結果を用いて、1978年にPittsによって示されたコンパクトリーマン多様体内における滑らかな極小超曲面の存在定理の別証明ができないかを考察し、ある程度の道筋をつけた.この極小超曲面は大域的には不安定で局所的には安定的である.Pittsの証明が局所最小カレントの理論を用いたものである一方、このアプローチではフェイズフィールド法を用いておりかつ極めて簡潔な証明になる点が応用上重要である.またその簡潔さより、Pittsのアプローチよりも汎用性がある点も重要である.
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Research Products
(5 results)