2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21340033
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
利根川 吉廣 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80296748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西浦 廉政 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00131277)
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Keywords | フェイズフィールド法 / Allen-Cahn方程式 / Cahn-Hilliard方程式 / 平均曲率 / 極小曲面 / 相分離 / 幾何学的測度論 / 変分法 |
Research Abstract |
本研究課題の一環でフェィズフィールド法を用いてその存在定理を示していた、移流効果のついた平均曲率流の弱解についての研究を主として行った.n次元ユークリッド空間内のk次元多様体が時間に依存して変形していくとする.その法線運動速度がそれ自身の平均曲率ベクトルに等しいとき、そのk次元多様体は平均曲率流であるという.さらにその一般化として、法線運動速度が平均曲率ベクトル十与えられた時間に依存して変化しうるベクトル場に等しい場合、移流効果のついた平均曲率流であるという。幾何学的測度論のバリフォールドを用いることにより、特異点などを自然に内包する平均曲率流の弱解を定義することができるのであるが、その正則性理論はBrakkeの1978年の研究が本質的に唯一のものであった.一方でその内容は専門家にとっても極めて理解するのが困難であり、その後の研究進展を長年阻んでいたのであるが、その中、今年度その正則性理論の見通しの良い新証明および自然な一般化を得ることに成功した.鍵となったのは1990年に発表されたHuiskenによるエネルギー単調性公式を効果的に用いることであり、またBrakkeの証明には欠如していたリプシッツグラフ近似やブローアップの議論を行うこと等である.我々の結果は極小曲面に対する基本的な正則性理論である、Allardの定理の時間発展版となっており、平均曲率流に関する基礎的な定理の一つとなる結果である.これらをまとめた論文は現在査読中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
この研究計画はフェイズフィールド法によって喚起された問題を通じて数理解析の進展を図ることが大きな目的であったのだが、今年度得られた正則性理論の結果は正にフェイズフィールド法によって示されていた平均曲率流の存在無しでは考え付かなかったものである.得られた結果は予想以上に一般的かつ基本的なものであり、当初の計画以上の成果がすでに得られたと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
1.前年度に得られた正則性理論の結果に基づき、平均曲率流の局所正則性理論のさらなる精密化を図る.2.2相流体において、境界面が表面張力を持つ場合のモデルに対して、その弱解の存在定理を研究する.
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Research Products
(2 results)