2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340034
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
時弘 哲治 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 教授 (10163966)
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Keywords | 可積分系 / セルオートマトン / 超離散系 / トロピカル曲線 / 有限体 |
Research Abstract |
超離散可積分系の代表例である周期箱玉系の相関関数を研究した.周期箱玉系はKdV方程式の超離散極限であると同時に,6頂点模型を一般化した可解格子模型の絶対零度極限(結晶化-crystallization-)でもある.可解格子模型とは,熱力学極限において分配関数を解析的に求めることができ,様々な相関関数を厳密に求めることができる格子模型である.しかしながら,一般には相関関数の計算は極めて困難であり,もっとも単純な6頂点模型でさえ,多重複素積分による表式や自由フェルミオンを用いた表式など現在も研究が盛んに行われている.周期箱玉系の相関関数は,これらの可解格子模型の相関関数のある極限でもあるため,周期箱玉系の相関関数を求めることは可解格子模型研究の観点からも興味深い.本年度は,まず,1点相関関数および短距離の2点相関関数については組合せ論的な手法で具体的な表式を求めた.その結果は1点相関関数と距離1の2点相関関数については簡単な表式が得られたが,距離2のものはいくつかの漸化式を経由するやや複雑な形で表現できることを示した.距離3以上の場合でも組合せ論的な表式を得ることは可能であるが煩雑になる.しかしながら,周期箱玉系の初期値問題の研究の結果より,任意の状態は超離散テータ関数を用いて表現できることが示されており,この結果を用いて,一般の$n$点相関関数は,超離散テータ関数を用いて表示できることを示した.これは多重複素積分の表式に類似する公式であると考えられる. 本年度は,その他にも非可換系や非可積分系においてもいくつか進展があった.
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Research Products
(4 results)