2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340034
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
時弘 哲治 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (10163966)
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Keywords | 可積分系 / セルオートマトン / 超離散系 / トロピカル曲線 / 有限体 |
Research Abstract |
1.昨年度に引き続き周期箱玉系の相関関数を研究した.2点相関関数では,相関長が2の場合に組合せ論的な手法により昨年度の結果を改良した表式を得た.その手法を用いて相関長3の場合の具体的な表式を得た,また,n点相関関数について各点が最近接している特殊な場合であるが,漸化式を構成することができた. 2.超離散KdV方程式:u_n^{t+1}=\min[1-u_n^t,\sum_{k=-\infty}^n(u_k^{t+1}-u_k^t)]の保存量を"負のソリトン"が存在する一般の場合について,箱の容量が大きな箱玉系への変換を利用して構成した.ここで負のソリトンとは2年前に広田良吾によって名づけられた超離散系特有の解であり,対応する連続系では,通常のソリトンが点スペクトルに対応するのに対して,連続スペクトルに属する解であると考えられ,背景解とも呼ばれている.同時に可解格子模型との対応関係も明らかになり,A_1^{(1)}対称性を持つことがわかった.さらに,通常のソリトンと負のソリトンの存在する解も,この拡張した箱玉系の解として構成し,具体的な解の表式を得た.箱の容量が1の箱玉系では,すべての状態が離散KdV方程式のソリトン解からの超離散化によって得られ,この事実を利用して初期値問題を解くことが可能である.負のソリトンが存在する場合にも,同様にして初期値問題が解かれると予想される. 3.DNAの転写に関するセルオートマトンモデルを構成した.ASEP (Asymmetrical Simple Exclusion Process)の応用として構成でき,より単純化したモデルでは厳密な定常解を与えることができた.その結果3つの安定点を持つ基本図が得られることがわかった.
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Research Products
(4 results)