2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
國府 寛司 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (50202057)
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Keywords | 力学系 / 分岐 / 大域的構造 / 計算機援用 / 位相計算 / 精度保証付き計 / ホモロジー / グラフ・アルゴリズム |
Research Abstract |
力学系の様々な大域的構造に関して次のような成果が得られた.(1)位相計算的方法による力学系の大域的構造解析法の応用:前年度に開発した力学系の位相計算的大域構造解析の方法をいくつかの具体的な力学系に対して適用し,いくつかの改良の可能性を見出した.特にMorse 分解の計算のためのadaptiveなグリッド分割の方法は,より大規模で高次元の力学系を解析するために有効であると考えられるまた.回帰的不変集合内の孤立不変部分集合を見出す計算アルゴリズムは,回帰的ダイナミクスのより詳しい情報を引き出すために不可欠である.これらについては,今後,実現に向けて更に検討を進める.(2)力学系の位相計算的分岐の研究:上述の位相計算的方法により力学系の大域的構造の変化を捉えるための数学的理論を構築する第一歩として,サドルノード分岐と呼ばれる最も単純な力学系の分岐を対象として解析を行った.より具体的には通常の分岐理論的観点からと位相計算的観点から分岐の情報の対応を明確にし,位相計算的解析を通常の分岐解析と関係づけることを試みている.数学的な結果はほぼ完成し,現在,具体的な例での計算機による検証を行っており,近く論文を完成する予定である.(3)3次元微分同相写像のヘテロクリニックサイクルの分岐:heterodimensional cycle と呼ばれるある種のヘテロクリニックサイクルは,3次元以上の微分同相写像のダイナミクスを知るために基本的な役割を果たす不変集合の1つであり,多くの研究者によって活発に研究されている.このheterodimensional cycleが構造安定なダイナミクスの典型的なモデルであるhorseshoeの内部の局所的分岐からある種の余次元2の特異性を経て発生することを示し,その変形の過程において発生するダイナミクスと分岐を調べた.
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Research Products
(6 results)