2011 Fiscal Year Annual Research Report
全天X線監視装置MAXIによるブラックホール候補天体の包括的研究
Project/Area Number |
21340043
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
根來 均 日本大学, 理工学部, 准教授 (30300891)
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Keywords | ブラックホール / 高密度星 / X線天文学 / 全天X線監視装置MAXI / 国際宇宙ステーション / 降着円盤 / 速報 |
Research Abstract |
研究期間中に開発してきたMAXI突発天体発見システムにより、2011年5月8日には新たなブラックホール候補天体MAXI J1543-564を発見し(Negoro et al.ATel.3330)、さらに8月30日にはMAXI J1836-194を発見した(Negoro et al.ATel,3611)。これらにブラックホール候補天体は、その後、多くの衛星、地上観測装置により追観測され、その実態が解明されつつある。これらの候補天体は、最も明るくなった時でさえ、100mCrab程度とこれまでよく研究されてきた他のブラックホール候補天体と比べて一桁以上暗い。状態遷移等のそれぞれの特徴から、J1543-564はこれまで観測されてきた候補天体の中でもっとも遠方に位置し、またJ1836は質量降着率が低かったX線新星であることが示唆されている。現在も同天体のデータを含め、詳細なデータ解析を行っている。 また、2011年3月末には同発見システムがその前日にSwift衛星が捉えたSwift J164449.3+573451フレアも捉え、世界に速報した。当初、その奇異な現象の実態はわからなかったが、MAXIの過去の同領域のデータやその後の追観測により、銀河中心にある巨大ブラックホールよる近傍の恒星の潮汐破壊によるもの、つまりは、星が巨大ブラックホールに吸い込まれる瞬間を捉えたと解釈でき、Natureにもその結果が掲載(Burrows etl al.2011)されたことは同じブラックホール研究として特筆に値する。さらには、同システムによりブラックール候補天体ではなかったが、2011年11月11目には特異なSSS(Super-soft Source)が検出され、発見後約1分で世界に速報された。 これらの成果について、現在、共同研究者とともに論文にまとめているところである。
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