2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340050
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 敏光 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 名誉教授 (80011500)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤石 義紀 日本大学, 理工学部, 客員教授 (50001839)
|
Keywords | 実験核物理 / 高密度原子核 / K中間子 / K中間子凝縮 / ストレンジネス |
Research Abstract |
本研究課題に謳うK中間子凝縮核は、反K中間子(以下Kbarと記す)を構成子とする新しい原子核のことで、これまでのわれわれの理論的予言から通常核子密度の数倍に及ぶ高密度状態が自発的に生成する、と考えられている。このようなK中間子核の高密度凝縮性は「原子核密度は一定不変」とする核物理学の鉄則から大きく逸脱するため、学界ではいまだ半信半疑の状態にある。この状況を乗り越えるストラテジーとして、われわれはまず、K中間子核の最も原始的な形態であるK^-ppの研究を徹底的に行うことを掲げた。理論的には、この系では「実のボゾン粒子」が2個の陽子の間を回遊し、パイ中間子の媒介する核力よりはるかに強い核凝集力(超強核力と呼ぶ)が生ずることが明らかにされた[赤石ら発表論文]。 実験的には、ドイツ・イタリアの研究者とともにDISTO実験の解析から、われわれの予言どおり、高エネルギーのpp衝突においてKpp核が大きな強度で生成することが判明し、Phys.Rev.Lett,に発表された[山崎ら発表論文、Maggioraら発表論文]。さらに確定的な知見を得るため、ドイツGSI研究所において同様な実験が行われ、データの解析が進んでいる。 これと平行して、目下最もホットなテーマとなっているK-と陽子の結合状態がどこに現れるか、という問題を研究した。K-吸収過程では原子核中の陽子の束縛エネルギーに助けられて、K-陽子束縛状態が共鳴的に生成することを明らかしに、これまでに存在する実験データを理論的に解析した結果、共鳴エネルギーは1405MeVに近いことを明らかにした。[Jesmailiら発表論文]。
|