2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340050
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 敏光 東京大学, 大学院・理学系研究科, 名誉教授 (80011500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤石 義紀 日本大学, 理工学部, 客員教授 (50001839)
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Keywords | K中間子 / K中間子原子核 / 高密度原子核 / 陽子陽子反応 / K中間子凝縮 |
Research Abstract |
*多重K中間子核の構造Faddeev-Yakubovsky法によるK-K-pp核の構造の計算を行った。2004年にこの核が強い束縛エネルギーをもつことがわれわれによって初めて予言されていたが、その結果をほぼ再現した。K-p束縛状態の強度を変化させることにより、K-pp,K-K-pp核の束縛エネルギーがどう変化するかも計算された。すでにK-pp核の観測された束縛状態はもともとの予言より深く、これを説明するKN相互作用は20%くらい増大していることになる。これは、最近、GSI研究所のFOPI実験で同定されたK-ppn核の束縛状態からの知見とも一致している。この増強されたKN相互作用を考慮すると、K-K-ppの束縛エネルギーは極めて高くなり、K中間子凝縮に近づいていることがわかった。 *多重K中間子核の生成反応では、そのようなK-K-pp核はどのようにして生成可能であるか?われわれは昨年に引き続き、このの生成反応をさらに深く研究し、その結果をPRC誌および国際会議において発表した。これは、将来、J-PARCにおいて実施可能なテーマであることが判明した。 *さらに多くのK中間子を含む原子核の構造を計算する処方箋を研究した。これによって、多重K中間子核は準安定、もしくは安定なストレンジレットとなる可能性が予言され、その実験的探索法を研究した。pp反応から直接にK-K-ppが生成可能であることは、重イオン反応で高いエネルギーを与えれば、多重K中間子核が生成しうることを意味する。 *pp反応におけるラムダ1405粒子の生成反応を解析し、その共鳴の位置と幅を決定する作業を行った。 *K-吸収反応におけるラムダ1405粒子の生成反応を解析し、その共鳴の位置と幅を決定する作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
陽子・陽子反応においてラムダ1405粒子が複数生成することを認めると、それは両者が合体して高密度の二重K中間子核が生成することを意味する。この新しい反応過程に気付いたことは予期しないことであった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は多重K中間子核の研究へ重心を移す。これは高密度原子核の重要な部分である。
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