2009 Fiscal Year Annual Research Report
連星中性子星およびブラックホール中性子星連星の合体による重力波に対する数値的研究
Project/Area Number |
21340051
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柴田 大 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 教授 (80252576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関口 雄一郎 国立天文台, 理論研究部, 研究員 (50531779)
木内 建太 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (40514196)
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Keywords | 重力波 / ブラックホール / 中性子星 / 連星 / 数値相対論 / 一般相対論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、連星中性子星およびブラックホール・中性子星連星の合体過程および放射される重力波の波形を、これまでになく系統的に解明することである。つまり、中性子星の質量や状態方程式、およびブラックホールの質量やスピンを幅広く変化させながら、連星の個々の星を特徴付ける量の変化と共に、合体過程や重力波の波形が定量的にどのように変化するのか明らかにすることが目的である。 H21年度は特に(1)等質量の連星中性子星、および(2)スピンのないブラックホール・中性子星連星の場合に焦点を絞って研究を進めた。いずれの場合も、ピースワイズポリトロープを用いて中性子星の現実的な状態方程式を近似的にモデル化した。この方法の場合、現実的状態方程式を2~4個の少数のパラメータで近似的に表現することが出来る。H21年度は最も単純な、2パラメータのモデルを用いて合計8つ状態方程式を構成し、シミュレーションに用いた。 連星中性子星に関しては、太陽の1.35倍の質量を持つ2つの中性子星の合体のシミュレーションを、8つの状態方程式に対して実行した。その結果、合体後に誕生する天体が状態方程式に強く依存することが分かった。比較的柔らかい状態方程式の場合には、ブラックホールが速やかに誕生する。一方、平均的なものよりも硬い状態方程式を用いると大質量中性子星が誕生し、数10ミリ秒程度はブラックホールに崩壊することなく生き延びることが分かった。合体後の進化の違いは重力波の波形にも影響を及ぼす。特に1-4kHz程度の周波数帯の重力波スペクトルは、状態方程式に強く依存することが分かった。 ブラックホール・中性子星連星に関しては、各質量が4.05:1.35太陽質量、2.7:1.35太陽質量、および2.4:1.2太陽質量の場合の3通りに対して、シミュレーションを実行した。やはり8つの状態方程式を用いた。質量比が小さい場合は潮汐破壊が起こるが、そのときの重力波周波数が、状態方程式の硬さに系統的に依存することが示された。 以上の結果は、合体時の重力波をとらえることにより、中性子星の状態方程式に制限を課すことが可能であることを意味している。どちらの結果に関しても現在論文作成を進めている。
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Research Products
(6 results)