2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高エネルギー宇宙ガンマ線観測用モバイルテレスコープアレイ計画R&D
Project/Area Number |
21340052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉越 貴紀 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (30322366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 正樹 立命館大学, 理工学部, 教授 (80210136)
大石 理子 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (10420233)
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Keywords | 宇宙線(実験) |
Research Abstract |
移設式解像型大気チェレンコフ望遠鏡を地上に多数配置した超高エネルギー宇宙ガンマ線観測用モバイルテレスコープアレイの実現に向けて、望遠鏡単体の試験用データ収集システムの開発および製作を行った。本R&Dの最終目標は、試験用データ収集システムの消費電力を抑制し大容量蓄電池のみでの稼働可能性を検討することで、電力線から独立した移設可能な解像型大気チェレンコフ望遠鏡の製作技術を確立することである。 本試験用データ収集システムは、低消費電力のアナログメモリーセル(AMC)ASICを使用した大気チェレンコフ光波形記録回路からなる。KEKを中心としたオープンソースコンソーシアムと共同で、ウィルキンソン型ADCを組み込んだAMC ASICを新たに開発し、従来の試作品よりさらに回路を低消費電力化することに成功した。これに光ファイバー遅延回路を組み合わせることで一つのASICを8チャンネル(カメラ画素)で再利用する回路システムをデザインし、さらに消費電力を抑えることを見込んでいる。この回路と共に使用する32画素(スーパーバイアルカリ光電子増倍管)カメラ、E/OおよびO/E変換器の量産を行い、また、FPGAを利用したパターントリガー回路、光電子増倍管に供給する高電圧の配電盤を製作した。 これらの各システム構成要素を調整した後、東京大学宇宙線研究所明野観測所に設置した試験用大気チェレンコフ望遠鏡に導入する。試験用望遠鏡は平成22年に中古品を譲り受けた後、18枚の分割鏡の再アルミ蒸着を国立天文台岡山天体物理観測所の蒸着装置を利用して平成24年6月に完了した。今後本望遠鏡システムで、宇宙ガンマ線および宇宙線由来の大気チェレンコフ光の試験観測を行い、システムの観測性能および電力性能を評価する。また、立命館大学で調査中の大容量リチウムイオン蓄電池を増強し、システムの一部を蓄電池で稼働することを試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
装置開発および製作を依頼した企業との調整に予定より時間を要したこと、当初予定していた研究体制が十分に整っていないこと(大学院学生等)、研究代表者の怪我(入院とリハビリ)により、研究はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の遂行に遅延があるものの、装置開発および製作はほぼ終了し、目標とする大気チェレンコフ光の試験観測を次年度に行える見込みである。その結果をまとめ、本研究で開発した解像型大気チェレンコフ望遠鏡用データ収集システムの性能と消費電力について考察する。
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Research Products
(4 results)