2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340058
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 泰樹 Osaka University, 核物理研究センター, 協同研究員 (80028240)
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Keywords | 恒星内元素合成 / 中性子捕獲反応 / パルス中性子 / 核破砕反応 / s-過程元素合成 / r-過程元素合成 / LaBr検出器 / 即発ガンマ線 |
Research Abstract |
目的: 本研究では、BrilLanCeを用いた高感度γ線検出器系を製作、J-PARCの高強度中性子を用い、最近「すばる望遠鏡」等で観測され大きな問題となっている金属欠乏星内での重元素合成に関わる鉛及びNi核の中性子捕獲反応断面積を測定し恒星内の重元素合成模型構築において核物理が関わる問題点を解明する。 研究成果: 中性子・原子核反応からの即発γ線を高感度・高検出効率で測定するため反同時計測型BrilLanCe(LaBr)検出器を製作した。この即発γ線は、中性子捕獲原子核固有のため不定性無く反応断面積を決定でき、又固有の電磁気的性質を持つためこのγ線検出は中性子捕獲反応機構及び核構造の理解に重要な情報を提供する。γ線の高感度測定には、反同時計測検出器系を優れた中性子遮蔽能力を有するシステム構築が不可決である。本研究では高いエネルギー分解能を持つ3.5位インチ直径で長さが4インチのBrilLanCeを購入、その周囲は既存の厚さが2インチのBGO検出器で囲った。試料で散乱されるkeV中性子束を遮蔽し減衰すべく10cm厚のボロン入りポリエチレンを使用した。(keV中性子捕獲反応で放出される即発γ線を大きく減衰する事のない様に厚さを決定)。keV中性子はポリエチレン中の水素で減速され熱エネルギーで極めて大きな断面積を持つ^<10>B(n, ^4He)^7Liにより吸収される。γ線はBGO検出器の外側には5cm厚の鉛を巻く。実験室内で散乱された中性子が検出器周辺の物質に捕獲されてバックグランドγ線を放出しBrilLanCe検出器に入射するのでそれを減衰させる。BGO検出器もこのγ線遮蔽の役目を果たすので5cm鉛で良い。鉛の外側には、ボロン入りポリエチレンを10cm厚程度巻きBrilLanCe検出器に入射する散乱中性子を減衰させる。^<10>B(n, ^4He)^7Li反応で478keVγ線が発生するがPbで十分減衰する。検出器全体は軽量性と強固さを勘案してアルミニウムで筐体を囲む検出器系には架台を製作、実験コースにセットした。
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