2010 Fiscal Year Annual Research Report
パイオン崩壊分岐比の超精密測定と標準理論を越えた物理の探索
Project/Area Number |
21340059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青木 正治 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (80290849)
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Keywords | パイオン / 標準理論 / 精密測定 / 荷電レプトン・フレーバ非保存 / 波形記録 |
Research Abstract |
素粒子の標準理論ではπ^+→e^+ν_e崩壊はヘリシティー抑圧されており分岐比が非常に小さい。そのため、ヘリシティー抑圧されない新しい物理現象に対して、その効果が大きく増幅して観察される特別な崩壊モードとなっている。本研究の目的は、π^+→e^+ν_e崩壊とπ^+→μ^+ν_e崩壊の相対的な分岐比(R_e/μ)0.05%の精度で超精密測定することにより、標準理論を越えた現象を探索する事にある。 本年度は昨年度に引き続き、2010年4月から12月に渡って長期間のデータ収集を行った。そのため、日本グループが責任を持つ波形記録デバイスに関して、リモートで管理をしやすいようにインターフェースを改良した。カナダTRIUMFへの長期滞在や、インターネット経由でのリモートアクセスなどを活用しながら、収集データの品質確認を継続的に行ってこれまでにおよそ4×10^6個のπ^+→e^+ν_e崩壊を記録する事に成功した。 陽電子のエネルギー測定に使用している大型NaI(Tl)単結晶クリスタルカロリメータの性能に関して、2009年に行ったビームテストの結果をモンテカルロ計算と比較することにより、光核反応を含めて本カロリメータの動作を深く理解するに至った。また、カロリメータの性能として、70MeVのエネルギーにおいて2.2%(FWHM)を得た。 さらにCOMET実験と共同で、GSO結晶(20×20×120mm)50本をMPPCで読み出すタイプのカロリメータを試作し、東北大学・電子光理学研究センターにおける電子ビームを用いた試験に貢献した。現在MPPC読み出しの非線形性を考慮した解析を行っている。
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[Presentation] Rare Decays2010
Author(s)
Masaharu Aoki
Organizer
Precision Tests of the Standard Model from Atomic Parity Violation to Parity-Violating Lepton Scattering
Place of Presentation
ECT*, Trento (Italy)(招待講演)
Year and Date
2010-11-11