2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340073
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中務 孝 独立行政法人理化学研究所, 中務原子核理論研究室, 准主任研究員 (40333786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢花 一浩 筑波大学, 数理物質科学研究科, 教授 (70192789)
松尾 正之 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70212214)
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Keywords | 原子核構造 / 原子核反応 / 密度汎関数理論 / 線形応答関数 / 光核反応 |
Research Abstract |
平成22年度は、研究計画の中で主に以下の4つの内容で大きな前進を得ることができた。 (1)行列形式による準粒子乱雑位相近似計算の並列計算プログラムによる重い原子核の光応答 (2)正準座標表示による時間依存Hartree-Fock-Bogoliubov理論の定式化とプログラム開発 (3)有限振幅法の超流動原子核への応用(準粒子乱雑位相近似) まず、(1)については、標準的な行列形式による準粒子乱雑位相近似(QRPA)計算であるが、昨年度開発した並列プログラムを用いて希土類核の形状相転移核における光吸収断面積計算を、理研のRICC512コアの並列計算で実施した。実験データとの比較から、ピーク位置およびその幅のアイソトープ依存性に関して非常によい一致を得た。将来的には、京計算機におけるアプリとしての有力候補と考えており、1万コア程度の並列度におけるパフォーマンスを今後調べていきたい。 (2)では、莫大な計算量がネックとなって現実的な計算が行われてこなかった時間依存 Hartree-Fock-Bogoliubov理論を正準基底を用いて定式化することを試みた。基底状態に対するBCS近似に相当する近似を時間依存正準基底について導入することで、この計算量を大幅に減らすことができることを示した。この近似の正当性を確かめるため、線形応答計算プログラムを開発し、この近似を導入しないフルの線形応答計算と比較し、良い一致を見た。この理論の開発により、今後、核分裂などの大振幅集団運動への応用が期待される。また、この成果はフィジカル・レビュー誌のハイライトに選ばれ、理化学研究所においてもプレス発表した。 (3)は、最近2年ほどかけて開発してきたプログラムであるが、ようやく完成した。原子核の基底状態の形状としては球対称性を仮定しているが、完全自己無撞着なQRPAコードとなっている。現在、これについて論文を準備中である。
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Research Products
(57 results)