2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340073
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中務 孝 独立行政法人理化学研究所, 中務原子核理論研究室, 准主任研究員 (40333786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢花 一浩 筑波大学, 数理物質科学研究科, 教授 (70192789)
松尾 正之 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70212214)
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Keywords | 原子核構造 / 原子核反応 / 密度汎関数理論 / 線形応答 / 光核反応 |
Research Abstract |
平成23年度(繰り越し分を含む)は、主に以下の2つの研究で成果があった。 1.時間依存密度汎関数理論に基づく重イオン核融合計算 2.光吸収断面積の系統的な計算に基づくピグミー共鳴状態の解析 まず、1.は、本科研費によって雇用したポスドクのLuGuo氏との協力で中心的に進められた研究テーマである。これまでコードの並列化等に取り組んできたため、大規模計算による大きな系の解析が可能になった。これを用いて行ったのが、重イオン衝突反応、特に核融合反応の閾値エネルギーの系統的解析である。軽い原子核から重い原子核まで、数十種類の組み合わせに対しての結果から、系が重くなると閾値エネルギーが簡単な模型に基づくクーロン障壁エネルギーから大きくずれていくことが明らかになった。これは実験的に良く知られるextra-pushエネルギーに対応すると考えられ、微視的な計算で初めてこの効果が得られることが分かった。Extra-pushエネルギーの微視的起源が解明されれば、核融合確率を大きくする反応などの発見にもつながると期待される。 2.では、我々が開発した有限振幅法を用いて、光吸収断面積をZ=40までの原子核に対してしらみつぶしに計算し、そのデータを得た。その結果を用いて、低エネルギーに現れるピグミー共鳴状態と呼ばれる断面積の小さなピークに関する分析を行うた。光吸収断面積は巨大共鳴と呼ばれる10-20MeV程度の励起エネルギーに現れる状態がその主要部分であるが、不安定核では低エネルギーにもピークが現れることが知られており、その強度は元素合成過程などで重要になる。また、核物質の対象エネルギーの密度依存性との相関も示唆されており、状態方程式に対する拘束を与えることができる可能性もある。ピグミー強度に対する魔法数の出現、中性子過剰核に現れる中性子スキンとの相関を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画の中の計算核データ構築について、光核反応については順調に進んでいる。核融合反応に関しては本科研費によって雇用したポスドクが年度途中で転出したためにやや遅れていたが、繰り越し分を用いて研究打ち合せを行うことができ、こちらも成果をあげはじめてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は本計画の最終年度であり、これまでの計算結果を論文にまとめることを最重点に考えていく。同時並行で、有限振幅法の更なる応用、ピグミー共鳴のより詳細な解析、Z=40を超える重い原子核に対する計算等を実行する。
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Research Products
(45 results)