2009 Fiscal Year Annual Research Report
超高速レーザー分光によるカーボンナノチューブの新奇光学応答と非線形性巨大化の研究
Project/Area Number |
21340081
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 新男 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50159068)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 剛史 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20509070)
|
Keywords | ナノチューブ / フェムト秒分光 / 光物性 / 非線形光学 / 一次元励起子 |
Research Abstract |
1.半導体/金属ナノチューブの分離合成と試料評価 密度勾配遠心分離法を用いて半導体ナノチューブと金属ナノチューブを分離し、金属ナノチューブの純度を上げた試料を作製した。平均直径が1.78nmのカーボンナノチューブ原料を用いた場合、分離精製した半導体チューブ試料に含まれる金属チューブの割合は約8%であるが、金属ナノチューブ試料中の半導体ナノチューブの割合は32%であることがわかった。しかし、金属チューブの励起子遷移エネルギーは、不純物となる半導体チューブのそれとは異なるエネルギー領域にあるので、このような金属ナノチューブ試料を用いて発光を観測することが可能である。 2.発光アップコンバージョン測定系の整備と近赤外発光の検出 モード同期チタンサファイアレーザーを用いてアップコンバージョン法による発光ダイナミクスを測定するシステムを整備した。減衰曲線のコンボリューション解析により,約10fsの分解能(誤差)で寿命を評価できることがわかった。この測定系を用いて、,分離精製した半導体ナノチューブ試料の発光寿命を測定し、第2バンドに由来する励起子の発光寿命が約40fsであることを明らかにした。 3.金属カーボンナノチューブの非線形光学応答の研究 フェムト秒ポンプ-プローブ分光によって吸収スペクトルの時間変化を高感度に測定するために、CCD検出器を用いた測定システムを整備した。測定された差分吸収スペクトルは吸取減少とブルーシフトを示し、吸収減少は、光励起されたキャリヤのホットエレクトロン効果のためにバンド間遷移吸収スペクトル(M_<11>バンド)が広がることによることがわかった。また、ブルーシフトはバンド端に緩和した光励起電子、正孔による状態の充填効果よることが示唆された。M_<11>バンドのプロードニングは約100fs、2psの2成分で減衰し、この減衰挙動はホットエレクトロンの冷却過程を反映している。
|
Research Products
(9 results)