2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高速レーザー分光によるカーボンナノチューブの新奇光学応答と非線形性巨大化の研究
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21340081
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 新男 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50159068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 剛史 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20509070)
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Keywords | ナノチューブ / フェムト秒分光 / 光物性 / 非線形光学 / 一次元励起子 / 金属内包フラーレン / フラーレンピーポッド |
Research Abstract |
1)ナノチューブ-金ナノロッド複合系における局所電場分布の計算 有限要素法を用いて複合系の局所電場分布を計算し、ナノチューブと金ナノロッドの距離、形状などの関係を明らかにした。金ナノロッドの先端部分において光電場が増強されるが、ロッド表面から約2nm離れると増強効果は約1/5に減少することがわかった。さらに、SiO_2をコア、Auをシェルとするコア・シェル構造の電場分布と吸収スペクトルを計算して、カーボンナノチューブの励起子遷移に対応するスペクトルを与えるコアサイズを検討し、複合系の設計指針を得た。 2)カーボンナノチューブと金ナノ粒子複合系の作製と吸収スペクトルの評価 単層ナノチューブ、またはナノチューブバンドルと金ナノロッドの複合系を作製し、吸収スペクトルから金ナノロッドによる光電場の増強効果を評価した。局所電場分布の計算から予測されるように、ナノロッド表面を修飾している界面活性剤層の厚さが数nm以上あるために増強効果が観測されなかった。次に、直径が90nmと170nmの2種類のSiO_2球を用いて、Au/SiO2コア・シェルナノ粒子を作製した。実験と計算のスペクトルの比較から、コア直径が大きくなると四重極子共鳴などの高次モードの寄与が増大することがわかった。 3)金属フラーレンピーポッドの光学応答 Gdを内包したC_<82>分子をカーボンナノチューブに内包させたGd@C_<82>ピーポッドの吸収スペクトルの解析から、Gd@C_<82>の内包によってナノチューブがn型にドープされることがわかった。これは、GdからC_<82>ケージへ電荷移動が起こり、ケージが負に帯電することによると思われる。さらに、3次非線形感受率の値はC_<84>ピーポッドに比べて約1/3の値になることがわかった。光学応答に対するGd@C_<82>ピの内包効果とドーピング効果が明らかになった。
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