2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340083
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有賀 哲也 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70184299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 弘 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60312253)
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Keywords | 表面・界面物性 / ラシュバ効果 / スピンエレクトロニクス / スピン軌道相互作用 / 表面構造 |
Research Abstract |
固体表面上に形成された低次元金属においては、電子-電子、電子-フォノンなどの相互作用、あるいはラシュバ型スピン軌道相互作用によって、さまざまな興味深い低次元物性が発現する。本研究では、角度分解光電子分光(ARPES)などの手法を組み合わせることにより、Si(111)、Ge(111)などの表面上に形成した低次元金属の物性を研究し、以下の成果を得た。 (1)本申請者らが発見したスピン偏極金属的表面状態を有するPb/Ge(111)-β表面について、低速電子回折と第一原理全エネルギー計算により構造決定を行った。得られた表面状態バンドは前年度に我々が測定したARPESおよびスピン分解ARPESと定量的に一致し、この表面低次元金属の構造、電子状態を完全に決定することができた。 (2)Si(111)表面上に形成されるInナノワイヤで観測される相転移に関して、表面X線回折法により、臨界散乱の観測など詳細な研究を行った。理論シミュレーションに基づいて従来提唱されていた動的揺らぎによる相転移メカニズムに対する強い反証を得た。これまでの理論、実験結果と総合することにより、擬1次相転移機構を提案した。 (3)Tl/Ge(111)-(lx1)表面の構造と電子状態を研究し、Tlを過剰に加えることにより、表面垂直方向にスピン偏極した金属的表面状態がK点付近で電子フェルミ面を形成することを明らかにした。スピン偏極度はほぼ100%であり、さまざまな興味深いスピン輸送現象が期待されることを示した。
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