2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノからバルクへのクロスオーバー領域における新しい光機能の探索
Project/Area Number |
21340085
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
石原 一 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 教授 (60273611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沈 用球 大阪府立大学, 工学研究科, 助教 (20336803)
芦田 昌明 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60240818)
一宮 正義 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (00397621)
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Keywords | 励起子 / ポラリトン / CuCl / 薄膜 / 四光波混合分光 / 励起子超放射 / 輻射緩和 / 位相緩和 |
Research Abstract |
21年度は、本計画における最初のターゲットであった、CuCI薄膜の四光波混合による励起子輻射緩和速度の評価を行った。ナノからバルクへのクロスオーバーサイズ領域である数100nmの膜厚では励起子重心運動による分極波と光が数波長に渡る結合長をもち、通常のナノ構造には見られない巨大な輻射結合とそれに伴う超高速輻射緩和が観測される可能性がある。本研究では100から200nmの高品質CuCl薄膜をMBEにより作製し、四光波混合分光、過渡グレーティング分光を行った。特に後者では純位相緩和の効果を除いた励起緩和の速度がポンプ光、プローブ光の時間差の依存性に表れる。まず、信号光を分光したスペクトルには多数のピーク構造が現れたが、これは解析の結果、巨大輻射結合による大きな輻射シフトを含んだ、励起子-輻射場結合モードのエネルギー位置に一致するものであることが分かった。さらにこれらそれぞれのピーク位置での信号の緩和時間を測定したところ、それぞれの緩和時間が、理論的に計算された各モードの輻射緩和時間に良く一致することが分かった。特に早いモードでは100fs程度の高速の輻射緩和を示すことが分かった。ーこれらは薄膜全体にコヒーレントに広がった励起子重心運動の(波動関数の空間構造に複数の節が存在する)高次モードと光が波長を越えて結合した結果であり、長波長近似を超えた効果である。この結果はPhysical Review Lettersに掲載された。またこの超高速輻射緩和は、いわゆるtime-of-flightの描像が成り立つ、バルク領域へ入る前のフェルミの黄金律により輻射緩和が支配されるサイズ領域特有のものであることが分かり、その理論的考察はPhysical Review Bに掲載された。
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