2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノからバルクへのクロスオーバー領域における新しい光機能の探索
Project/Area Number |
21340085
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
石原 一 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (60273611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沈 用球 大阪府立大学, 工学研究科, 助教 (20336803)
芦田 昌明 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60240818)
一宮 正義 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (00397621)
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Keywords | 励起子 / ポラリトン / CuCl / 薄膜 / 四光波混合分光 / 励起子超放射 / 輻射緩和 / 位相緩和 |
Research Abstract |
昨年度まで、高品質CuCl薄膜を用いた四光波混合実験により、この試料がこれまでの光学応答理論の標準を遙かに超えた超高速輻射緩和を起こすことを明らかにしてきた。これはこのサイズ領域特有の電子波動と光波動の空間インタープレイに基づいた広域相互作用により起こる現象であるが、この高速緩和は室温での純位相緩和のスピードを凌ぐ可能性があるため、22年度は励起子共鳴光学応答が室温で実現する可能性を追及した。この結果、室温でのコヒーレント非線形光学応答が観測された。このため、当初、23年度は、非縮退誘導励起型RHPS観測に取り組むべく、測定系の構築に注力する予定であったが、22年度に観測された現象のポテンシャルをさらに追求するための研究ヘリソースを割り振った。特に、室温で得られた信号をさらに再現性良く得るために高品質薄膜の安定した生成を目指し、これまで得られた中で最高品質の薄膜が作製出来るようになった。また、この薄膜より、ルミネッセンスでは通常観測されないような明瞭な閉じ込めポラリトン準位が観測された。さらに理論では将来の超高速信号観測備えてKerr回転測定を解析するための理論枠組みを完成した。これは、これまで四光波混合などで信号の高速性は確認できていたが、信号の強さの確認が課題であったことを受け、回転角からそれを明らかにする方法を検討したものである。特に励起子波動関数が結晶中に長距離に広がり非局所性が重要となる条件でKerr回転測定を計算する手法としては初めての結果である。
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