2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340087
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大島 永康 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (00391889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林崎 規託 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授 (50334537)
黒田 隆之助 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究員 (70350428)
鈴木 良一 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究グループ長 (80357300)
BRIAN O'Rourke 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究員 (60586551)
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Keywords | 大気陽電子顕微鏡 / 陽電子プローブマイクアナライザ / 低速陽電子ビーム / 陽電子消滅 / 陽電子寿命測定 |
Research Abstract |
大気陽電子顕微鏡の実現のためには、真空中で生成される陽電子ビームを真空窓を通して大気中に取り出す必要がある。なお、陽電子顕微鏡の開発は材料表面近郊の欠陥評価利用が目的であることから、陽電子ビーム利用エネルギーは、数keV~数十keVであることが前提である。 低エネルギー可変エネルギービームを大気中に取り出す手法を実現するためには、非常に薄いが信頼性の高い(破損の心配が無い)ビーム取り出し真空窓の開発が鍵であり、またこれを実際に用いたビーム取り出し強度(透過確率)の定量的評価が重要である。 真空窓の材料として厚み30-500nmのSiN薄膜を準備し、これらの真空保持テストを行った。この結果、窓有効径が1mm程度であれば、1気圧差を保持できる(破損しない)ことが分かり、真空窓材として実用上問題ないことを明らかにした。 陽電子ビーム(ビーム径:100μメートル)を1-25keV程度にまで静電加速管で加速し、真空窓を通して大気に取り出す実験を行った。真空窓の直後には、シリコン酸化膜試料(膜厚:100nm,500nm)を設置し、陽電子寿命測定を試みた。実験の結果、膜厚30nmのSiN真空窓を用いた場合、2keVの陽電子は50%程度の割合で大気側に取り出せることが明らかとなった。また、2.6keVの陽電子は、70%程度の割合で100nm厚の酸化膜内に止めることができることが明らかとなった。 真空中に設置した試料に対しても、陽電子ビームを低速のまま取り出し、表面近郊100nmに止めて欠陥分析を行う方法を確立した。現在、陽電子ビームの窓材の透過割合やビーム発散角について、シミュレーション計算を用いての評価を行っている。
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Research Products
(11 results)