2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340087
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大島 永康 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (00391889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林崎 規託 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授 (50334537)
黒田 隆之助 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (70350428)
鈴木 良一 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 副研究部門長 (80357300)
BRIAN O'rourke 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究員 (60586551)
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Keywords | 大気陽電子顕微鏡 / 陽電子プローブマイクアナライザ / 低速陽電子ビーム / 陽電子消滅 / 陽電子寿命測定 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、大気陽電子顕微鏡の要素技術を開発し、また実際に試作機を完成させその仕様等を明らかにして、分析装置としての実用化に目途をたてることにある。なお、大気陽電子顕微鏡とは、集束陽電子ビームを薄膜真空窓を通して大気中に取り出し、大気中に設置した微小試料中の陽電子寿命を計測して原子空孔やナノメートルサイズの空隙を定量評価する分析装置である。この分析装置は、従来不可能であった実用環境下(湿度制御ガス中あるいは応力負荷中)にあるバリア膜・保護膜・電子デバイス用絶縁膜等の機能性薄膜材料の空隙特性を評価できるため、これらの材料開発に役立つと期待される。 真空中で生成する低エネルギー陽電子ビーム(数keV)を薄膜真空窓を通して大気中に取り出すため、信頼性の高い(破損の心配が無い)真空窓の開発が重要であった。真空窓に厚み30-200nmのSiN薄膜を準備し、真空引き・耐熱・耐摩擦・耐水テストを繰り返し行うことで信頼性をテストし、実用的な適用範囲を明らかにした。試作機を用いて陽電子ビーム(ビーム径:100μメートル)を1-25keV程度の範囲で加速し、真空窓を通して大気中の薄膜材料の陽電子寿命測定を行った。実験の結果、膜厚30nmのSiN真空窓を用いた場合には、2keV陽電子ビームは約50%程度の割合で大気側に取り出せることが実験的に明らかとなり、この実験結果を計算やシミュレーション等で説明することにも成功した。 以上のように、大気陽電子顕微鏡の要素技術を開発し、実際に試作機を完成させ性能を評価した。また、大気中に設置した数百ナノメートル厚の試料に対して、実際に陽電子ビームによる欠陥分析が可能であることを実証した。従来には不可能であった実用環境下にある機能性薄膜材料の空隙特性を評価する新しい計測技術を確立した。
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Research Products
(19 results)