2010 Fiscal Year Annual Research Report
近藤系における部分近藤スクリーニングによる自己組織化と新奇な磁気伝導現象
Project/Area Number |
21340090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
求 幸年 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (40323274)
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Keywords | 物性理論 / 強相関電子系 / 計算物理 / 磁性 / 低温物理 |
Research Abstract |
伝導電子と局在スピンが相互作用する系において幾何学的フラストレーションがもたらす新しい物性を明らかにする目的で、部分磁気秩序を中心とした自己組織化現象の発現機構とそれらに起因した新奇物性を対象とした理論的な研究を行った。成果として以下の結果を得た。 (1)フラストレート近藤格子系における部分近藤シングレット相の研究:前年度の三角格子上の近藤ネックレスモデルおよび近藤格子モデルに対する計算をさらに発展させ、フラストレーションがより強いカゴメ格子上の近藤ネックレスモデルに対する計算を行った。その結果、カゴメ格子においても部分近藤シングレット相が現れることを明らかにした。三角格子との比較を通じて、フラストレーションが部分近藤シングレット相の安定化に与える影響を調べた。 (2)古典局在スピンをもつ近藤格子モデルにおけるスカラーカイラル秩序:三角格子上の強磁性近藤モデルの基底状態を調べ上げ、特異な非共線的な4副格子秩序構造をもったスカラーカイラル秩序が生じることを見出した。特に、これまで知られていた3/4フィリング相に加えて、1/4フィリング近傍に広い領域にわたってスカラーカイラル秩序が安定化することを明らかにした。 (3)アイスルールに従う自由度と結合した伝導電子系における金属絶縁体転移:フラストレーションに特有な局所拘束条件として、正四面体上のアイスルールに着目し、アイスルールに従う自由度と相互作用する伝導系の基底状態を調べた。パイロクロア格子をはじめとするフラストレート格子に対する数値計算と、伏見カクタス格子に対する厳密解による研究を相補的に組み合わせて、電荷アイスと呼べるような特異な絶縁体状態への相転移の様子を明らかにした。
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Research Products
(19 results)