2011 Fiscal Year Annual Research Report
圧力誘起超伝導体の高圧力下電子状態の解明と新奇超伝導の探索
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21340092
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上床 美也 東京大学, 物性研究所, 准教授 (40213524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松林 和幸 東京大学, 物性研究所, 助教 (10451890)
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Keywords | 高圧力 / 相転移 / キュービックアンビル |
Research Abstract |
最終年度は、昨年度からの継続で、Palm Cubic Anvil圧力発生装置(PCAC)を中心に諸物質の圧力誘起超伝導を示す物質の探索を中心に研究を進めた。PCACを用いた諸物性測定が、0.45K、磁場5T、圧力9GPa程度までの多重環境下で可能となった。これまで、2K以下の高圧下物性測定は、ピストンシリンダー型圧力セルを用いた3GPa程度までの測定が主であった。3GPa以上の極低温の研究には、ダイヤモンドアンビルセルが良く用いられるが、試料セットが極端に難しくなる。本装置の開発により、ピストンシリンダー並みに誰でも10GPaクラスの極低温での研究が行えるようになった。今後、本装置が普及することにより多くに新奇物性が発見されると期待される。本装置を用いて、軌道四極子秩序を示す、PrTi_2Al_<20>の電気抵抗およびAC比熱の測定を高圧下で行った。その結果、秩序温度は圧力と共に最初、緩やかに上昇するが、7GPa以上では逆に急激に減少する事を見出した。この圧力依存性は、Ce化合物でよく見られる磁気秩序温度の圧力依存性と酷似しており、同様に考察できる可能性があることを指摘した。 次に、Ag-Pd-Cu合金を用いた、小型ピストンシリンダー型圧力装置を開発し、極低温磁場中比熱の測定を高精度で行うことを可能にした。本圧力装置を用いたYbCo_2Zn_<20>の圧力下・磁場中における比熱測定を行うことにより、臨界点近傍において比熱はT^<-n>(0.44<n<0.54)に比例することを実験的に明らかにした。このような振る舞いは、既存の理論的モデルでは説明されないが、Yb系化合物の量子臨界点において特徴的なふるまいであると考えられる。 また、PCACを用いた、中性子回折実験においては、粉末回折装置にセットした研究を行った。これまでの試料空間は1mm^3程度で有り非常に小さく測定は困難であったが、これを2m^3程度に増やし、バックグラウンドを減少させることにより、十分測定可能であることを確認した。
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Research Products
(16 results)