2012 Fiscal Year Annual Research Report
カゴ状ナノ空間に発現するラットリングと電子ー格子相互作用の研究
Project/Area Number |
21340097
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
根本 祐一 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10303174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤津 光洋 新潟大学, 自然科学研究科, 研究員 (10431876)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 弾性定数 / 超音波 / ラットリング / 電子格子相互作用 |
Research Abstract |
カゴ状物質では電子格子相互作用により,ゲストイオンの熱活性ラットリングや量子トンネリングが出現し,重い電子や新奇秩序などの発現が期待される。ラットリングは超音波分散によって観測でき,解析によりラットリングの活性エネルギーEと特性緩和時間τを決定できる。また,低温での量子トンネリングは,弾性定数の低温ソフト化として観測される。3-20-6系カゴ状化合物Pr3Pd20Ge6では10-20Kと20-30Kの2つの温度領域にラットリングに起因する超音波分散を観測し,ラットリングが生じている4aサイトの結晶場パラメータが,電子格子相互作用の影響を受け,変調を受けていることを新たに明らかにした。また,250mKでΓ3基底の8cサイトにおいて反強四極子秩序を観測し,低温の60mKでΓ5基底の4aサイトの強四極子秩序を観測した。さらに,同型のNd3Pd20Ge6においても複数の温度領域で超音波分散を観測した。一方,ラットリングが発現しない充填スクッテルダイトPrFe4P12の未解明秩序相Aと磁場方向[111]で出現する磁場誘起秩序相Bを解明するため超音波実験を行った結果,ゼロ磁場での明瞭な弾性定数C44および(C11-C12)/2のソフト化を観測し,体積弾性率CBのソフト化を初めて特定した。これは,A相では全対称Γ1型の電気16極子秩序が起きていることを強く示唆する。また,PrRu4P12では,低温で4f電子の結晶場状態のみでは説明できない弾性定数のソフト化と停止の振舞いを観測した。これは,Pr核のもつ原子核磁性と4f電子磁性が超微細結合し,新たな多重項を形成していることを示唆する。特に,磁気相互作用に加え,電気四極子の超微細相互作用が重要な役割を果たしていると考えられ,ラットリングの研究に加えて非クラマース系での新しい物性物理の発見がもたらされた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(10 results)