2010 Fiscal Year Annual Research Report
十meVから十keV域での強相関係の統合的電子分光
Project/Area Number |
21340101
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅 滋正 大阪大学, 基礎工学研究科, 特任教授 (40107438)
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Keywords | 極低エネルギー光電子分光(ELEPES) / 硬X線光電子分光(HAXPES) / 超高エネルギー分解能 / バルク敏感性 |
Research Abstract |
8keVでの硬X線光電子分光(HAXPES)、500-1200eVでの軟X線光電子分光(SXPES)ならびに8.4、10.0、11.6eVでの極低エネルギー光電子分光(ELEPES)を組み合わせて、強相関係物質の総合的な光電子分光を行った。これにより真のバルクの電子状態を議論することが可能となった。 まず光電子放出の際の原子核反跳効果の議論を行った。重い電子系LiV204では全原子が反跳効果を示すことが明らかとなったのに対し、金属一絶縁体転移を宗すVO2ではVも0も反跳効果を示さないことが分かった。また金属-絶縁体転移を示すマグネリ相の金属相については、0は原子核反跳効果を示すのに対しVは示さないことも分かった。これらは原子間距離にも弾く依存するものと考えられる。またVO2で金属-絶縁体転移時に顕著となるV-V間のdimerization効果はV6011では顕著なものの、V509ではほぼ無視できることも明らかとなった。 LiV204のELEPESではフェルミエネルギーより上に高い状態密度を持つ電子状態の存在が示唆され、それが重い電子的振る舞いにかかわっていることを明らかにした。 123KにVerwey転移を持つマグネタイトFe304のHAXPESスペクトルとELEPESスペクトルの温度変化を100-330Kの範囲で詳細に測定した。Fermi準位から約0.5eVの範囲でのスペクトル変化は両者矛盾が無く、バルク電子状態を反映している。Verwey転移温度よりわずかに高温側のスペクトルでは依然としてFermi準位での光電子放出強度は弱く無視できるが、さらに250K、330Kとなると有限な強度が見られる。この振る舞いはポーラロンモデルでよく理解できる。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] V-V Dimerization Effects on Bulk-sensitive Hard X-ray, Photoemission Spectra for Magneli Phase Vanadium Oxides2010
Author(s)
M.Obara, A.Sekiyama, S.Imada, J.Yamaguchi, T.Miyamachi, T.Barashov, W.Wulfhekel, M.Yabashi, K.Tamasaku, A.Higashiya, T.Ishikawa, H.Takagi, S.Suga
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Journal Title
Phys.Rev.B
Volume: 81
Pages: 113107(1-4)
Peer Reviewed
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[Journal Article] Photoelectron Spectroscopy of LiV_<2>O_<4> with Photons from 8.4 to 8100eV : Bulk Sellsitivity Hybridization, and Recoil Effects2010
Author(s)
S.Suga, A.Sekiyama, H.Fujiwara, Y.Nakatsu, J.Yamaguchi, M.Kimura, K.Murakami, S.Niitaka, H.Takagi, M.Yabashi, K.Tamasaku, A.Higashiya, T.Ishikawa, L.Nekrasov
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Journal Title
J.Phys.Soc.Jpn.
Volume: 79
Pages: 04471(1-6)
Peer Reviewed
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