2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21340102
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
摂待 力生 Osaka University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00251041)
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Keywords | フェルミ面 / ドハース・ファンアルフェン効果 / 量子臨界点 / 磁性 / 超伝導 |
Research Abstract |
本研究の研究目的は,f電子系化合物における高圧、強磁場、極低温下の極限環境下でのドハースファンアルフェン(dHvA)効果や磁気抵抗の実験により、量子臨界領域で発現する超伝導とフェルミ面との相関を明らかにすることである。これらの系の超伝導は、磁気揺らぎあるいは価数揺らぎ,構造的な不安定性と深く関連していると考えられており、その電子状態の不安定性と超伝導をフェルミオロジーの観点から明らかにする。そのために,純良単結晶育成や,高圧力実験・強磁場・極低温実験をおこない,圧力誘起超伝導体を中心として,その量子臨界点近傍における電子状態の変化と,磁性,超伝導の関わりを明らかにしていく。 そこで、本年度は,まずCelrSi_3の純良単結晶の育成と、高精度dHvA効果測定プローブの開発、YbT_2Zn_<20>(T : Ir, Co)のdHvA効果の実験を行った。CeIrSi_3に関しては、RRR=300の純良単結晶が得られたので、現在製作中の高精度dHvA効果測定プローブを用いた実験を行う予定である。また、YbIr2Zn20に関しては、dHvA効果の観測に成功した。YbIr2Zn20は磁気秩序を示さないパウリ常磁性であるが、磁場下でdHvA効果測定において、典型的な重い電子系であるCeRu_2Si_2と似たメタ磁性を示すことを見いだした。メタ磁性が起きる磁場の近傍では、サイクロトロン有効質量が増大しており、メタ磁性が起きる原因とも関連していると思われる。一方、CeRu2Si2とは異なる点も観察された。CeRu2Si2においてはdHvA振動数もメタ磁性の前後で変化していたが、YbIr2Zn20においてはフェルミ面は変化していなかった。また、YbCo2Zn20のdHvA効果の観察にも成功した。YbCo2Zn20は電子比熱係数が8J/K2molと異常に大きな物質である。この物質は約0.5Tでメタ磁性を示す。サイクロトロン有効質量は、磁場下で急激に減少していることを見いだした。このことは大きな電子比熱係数も磁場下で急激に減少していくことを示している。
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