2010 Fiscal Year Annual Research Report
強相関電子系における多自由度の競合とマルチクリティカリティ
Project/Area Number |
21340105
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
勝藤 拓郎 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00272386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 茂生 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (20251613)
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Keywords | 強相関係 / マルチクリティカリティ / 電荷/軌道整列 |
Research Abstract |
(1)Ba1-xSrxV13018の電荷整列/三量体相転移とマルチクリティカリティ V三量体相転移を起こすSrV13018と電荷整列相転移を起こすBaV13018の混晶系を作製して、2つの相転移のマルチクリティカリティに関しての研究を行った。その結果、三量体相が電荷整列相の低温側に潜りこんだ相図をとることを見いだした。また磁化率において、2相が競合する領域で、電荷整列によって一度上昇した磁化率が、三量体相転移とともに大きく減少する様子を観測した。さらに、熱起電力は高温相では負の値をとり、電荷整列で絶対値が上昇し、三量体相転移では逆に符号が正に変化すること、2相が競合する領域では、熱起電力が温度とともに負の大きな値から正の値へ激しく変化することを見いだした。 (2)Ba1-xSrxV10015の軌道/スピン整列とマルチクリティカリティ BaV1015は130K付近で軌道整列を伴うV三量体相転移を起こし、40Kで反強磁性相転移を起こすが、SrV10015は三量体相転移を起こさず、30K付近で反強磁性秩序らしい相転移が磁化率やNMRで観測されている。この混晶系を作製した結果、x=0.07付近で三量体相転移が消失することを見いだした。また、相境界付近で電気抵抗の温度依存性に奇妙な履歴現象を見いだし、相転移に伴って試料内部に不均一な構造が発生するモデルを考察した。 (3)MnV2-xAlxO4の軌道/スピン整列とマルチクリティカリティ MnV204は57Kで軌道整列とスピン整列が同時に起こるが、VサイトをAlで置換するとスピン整列はそのままで軌道整列のみが消失することが知られている。この物質の熱伝導度を測定した結果、MnV204で観測された転移温度以下での熱伝導度の増大が、Alドープした試料では消えることが分かった。このことは、熱伝導度が軌道揺らぎ/整列によって支配されていることを示している。
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