2010 Fiscal Year Annual Research Report
加圧低温水の液液相転移及び動的性質と,水への化学的圧力印加効果
Project/Area Number |
21340118
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小國 正晴 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50144423)
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Keywords | 水 / ガラス転移 / 相転移 / 熱容量 / 構造緩和 |
Research Abstract |
MCM-41細孔中の軽水が233Kに熱容量極大を示すこと,極大温度は細孔径に依存しないことを見いだした。これは,この極大が液体~液体間の変化であり,233K付近で秩序化が急激に進行すること,この変化が相転移ではないことを示唆する。この極大は重水では240Kに観測され、温度は細孔径に依存しなかった。軽水との差7Kは密度最大温度の差や補外された等温圧縮率の特異温度の差と同じであり,熱容量極大がバルク水の示す特異な振舞と同じ起源であると理解される。 MCM-41細孔中のヒドロキシルアミン(HA)水溶液の熱容量を測定し,純水において観測された233Kの熱容量極大が、HAを添加することで、次第に鋭くなり、240-252Kにピークを持つ相転移に変化することを見いだした。相転移は,3mol%HA水溶液でも,温度に関してヒステリシスを与え,一次転移であることを確認した。相転移温度の組成依存性は,純水が示す熱容量極大の温度233Kに連続的につながり,同一の起源に基づくことが示される。 サーモモジュール(thermo module)を利用した高精度高圧熱量計を完成させた。バルク水の融解温度の圧力依存性を調べ,150MPaまでの圧力が問題なく試料に掛かっていることを確認した。MCM-41細孔内の水の融解温度が細孔径の減少とともに低下することは常圧下の実験から知られている。細孔内の純水の融解挙動を高圧下で調べ,融解温度の圧力依存性は細孔径に依存しないことを見いだした。233Kの熱容量極大は確認することができなかった。極大を確認できるだけの精度がないことを意味する。
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