2011 Fiscal Year Annual Research Report
メソ界面動的制御によるナノ構造とダイナミクスの凍結・解凍
Project/Area Number |
21340119
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 潤 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10200809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高西 陽一 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80251619)
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Keywords | メソ界面 / 動的制御 / ナノ構造 / ダイナミクス / 相制御 / 輸送 / 液晶複合系 / ソフトマター |
Research Abstract |
平成21年度中にモデル的なシステムの選定を終え、22年度はモデル系における界面ダイナミクスを測定した。これらを踏まえ最終23年度は、界面凍結により、ターゲットした自由度を自在に制御する探求を行った。 1.メソ界面間の拡散・輸送制御DDSを目的とした液晶ナノミセル中に、薬物の代わりに環境によって発光波長が変わる色素分子を包含させ、液晶ナノミセルの液晶相転移点近傍での発光状態を研究した。この結果、液晶状態では蛍光色素は疎水性環境における発光スペクトルを示すのに対して、高温で液体状態にした場合は、親水性環境での発光スペクトルを示すことを発見した。すなわち、低温ではミセルに内包されていた色素分子は、液晶から液体への転移が起こる高温ではミセル外に放出されて、水溶液中に単分子として分散していることが確かめられた。この事実は、刺激応答型で薬物を放出するためのDDSの基礎的な知見となる。 2.強誘電性液晶の層間を光重合性モノマーを用いてヘテロに重合した系において、Cダイレクターに関するアンカリング効果と、アンカリング状態での電場応答を発見した。これは局所的に凍結されたナノ界面でのらせん構造解凍と、層平行な面内でのCダイレクターアンカリングを実現しながら、電場に対するCダイレクターの応答性を保持した初めての例である。これまで強誘電性液晶による光バルブの原理は、電場ONによるらせん解凍状態を明状態、電場OFFでのらせん復元状態を暗状態として行っていた。この方法では、らせんを解凍・復元する際に必ず起こる、らせんの節の生成・消滅運動が極めて遅い運動となり、高速なスイッチングの妨げになっていた。本研究の発明を用いれば、らせんを解凍した状態を保持したまま、Cダイレクターをアンカリング状態から回転させ、明暗をスイッチすることできる。このため、新しい表示動作の基本モードとして応用の可能性が広がった。 このように、当初の研究計画に従って3年間の研究を進め、上記のように、界面を局所的に凍結することで、新しい材料物性を設計するための基本原理を明らかにできたといえる。これらの成果は、原著論文、学会発表、特許出願として現在まとめを行っている。
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Research Products
(38 results)